2016/01/23

オススメのマラソン本

このエントリーをブックマークに追加 このエントリーを含むはてなブックマーク
マンガは読んでいないので知らなかったのですが、この本の著者は結構有名なマンガ家さんで、マンガも人気で実写アニメ化、実写映画化されているとのこと。


走れ! マンガ家ひぃこらサブスリー 運動オンチで85kg 52歳フルマラソン挑戦記!


内容紹介を引用
”マンガ家ならではの奇抜な視点でサブスリーを実現!
目からうろこのランニングメソッド満載!

運動オンチで身体が弱く、運動会の駆けっこはいつもビリ。
中学・高校は帰宅部で大学は漫画研究会。
マンガ家になってからは机に向かいっぱなしの不摂生な生活で、気がつけば体重も増え、
10年前、友人に誘われるままに突然出場したマラソンは
なんとか全区間を走り(歩き)通したものの、タイムオーバーで失格。
その後、体重はますます増加、ついに85kgに。

そんな作者が、2014年、50歳を過ぎたところでくすぶった思いを糧に一念発起。
マンガ家ならではの、身体の動かし方、関節や筋肉という視点で試行錯誤を重ね、
ついにサブスリーを実現。55kg、体脂肪率5.1%。

30代で、体力や体型を考えてランニングをはじめる人はたくさんいますが、
とはいえ漫然と走っている方も多いのではないでしょうか。
でも、ほんのちょっと「考える」だけで、同じ体力で速く、
身体を傷めずに走れるようになります。もちろん、ダイエット効果も抜群です。

本書は、マンガ家ならではの、わかりやすいイラストを多数掲載。
身体をどう使えばいいのか、筋肉はどう動くのか、納得しながらメソッドを会得できます。
従来の「陸上経験者が教える本」とは一線を画した、
だれでも親しめる、そして走ることにわくわくできる本です。”

主な目次はこうなっています。

第1章 ひぃこらしないでラクに速くなれる近道はあるのか?

1.健康的なスラリとした美脚になったのは、フォームを意識してから
2.トップランナーや、速い人のフォームをつかめ!
3.ランニングの意識を変えるだけでいきなり速くなる!?
4.腰低意識でいこう!
5.アフリカ系の人は生まれつき骨盤が前傾しているなんてウソ
6.アフリカ人ランナーこそバネを使っていなかった
7.腕振りの、ランニングにおける重要性
8.DHCを磨け!!

第2章

1.ランニング・マン画家
2.2014年板橋CITYマラソン 8年ぶりの「荒川」は不安だらけ!
3.2014年かすみがうらマラソン フルを走って好調に? 10分短縮!
4.2015年勝田全国マラソン ダニエルズ効果で15分短縮!
5.勝田が終わってから、再び板橋CITYまでの2カ月間
6.サブスリー達成! 2015板橋CITYマラソン備忘録
7.サブスリーについての基本条項

第3章

1.趣味としてのランニングと、競技としてのマラソン
2.ひぃこらサブスリー達成の練習法
3.1人の練習がいいのか、クラブに入った方がいいのか?
4.ゲンキンな脳のリミットを外して走れ!
5.一般市民マラソンレベルでダイエットは必要か?
6.筋トレやストレッチでセルフケアは大事!
7.加齢に対しての極めて正攻法な対処
8.記録することは、ケガの予防にもなる

あとがき・・・あとがきを書くときに僕が語ること?


読んだ感想なんですが、第1章のフォームの部分に関しては、著者の方法論が詳しく解説されています。(この章はちょっと理屈っぽいかも)
私の場合は、フォームはダンスや楽器の演奏と同じで、やり方や理屈はわかっていても体で示すことが難しいです。頭でなく体で覚える必要がありますよね。
まずは走っている姿を動画で撮るとか、トレッドミルで走っている自分を鏡や窓で確認するなどして、自分のフォームの欠点を知る必要があります。
そして理屈よりも、欠点を治すための補強やストレッチを行う。左右のバランスを良くするための筋トレや、腹筋よりも胸を開き下半身を前傾するために必要な背筋をしっかり鍛える、姿勢維持をラクにするために体幹を補強するなどといったことを先に行うことが重要だと思っています。
更に短距離や中距離などペースの速い走りのトレーニングも行う。スピードが増せば増すほど変なフォームでは速く走れませんもんね。
この時に楽で速く走れるためのフォームを体で感覚的に覚えられるので、その動作を基本に、楽で速く走るためのマラソン走法に改良するといいように思います。


第2章からは自分のトレーニングやレースの体験談が書かれています。わかりやすい文章のおかげでドンドン読み進められます。
トレーニング法を具体的に解説したマラソンの教科書のような書き方ではなく、実体験を時系列でそのまま書かれているため、非常に参考になりました。
著者は、あらゆるトレーニング法を調べたようで、その方法論に対して自分なりに検証しているようです。
このあたりは、読者側からすると賛否両論ありそうですが、こういったことを試行錯誤するのもマラソントレーニングの楽しいところ。著者の意見を読みながら、自分の考えを改変、改善できるかと思います。

この本の最もいいところは、メタボ(当時82kg)だった著者が友人に誘われ、2006年(著者43歳)の時にマラソン大会に出場し、時間切れで失格に。リベンジにとまたその友人に誘われ、第1回東京マラソンに出場したもののタイムは6時間弱。
しかし、村上春樹著「走ることについて語るときに僕の語ること」を読んで心機一転。これ以降、本格的にトレーニングに励みだすのですね。
そして試行錯誤しながらトレーニングを積み、体重55kg、体脂肪率5.1%の身体をゲット。
何度も大会に参加しつつ、52歳になってサブスリー(2時間58分24秒)を達成し、涙を流して喜ぶ。

”ゴール後、自分でも驚いたのですが、涙が溢れ出てきました。冬の寒い間、ずっと走り続けていた努力が実った。報われた。終わったんだ。そう思ったら自然に涙が出てきたのです。50歳を過ぎてからこんな達成感を味わって、ランニングを趣味にして本当によかったと思いました。そしてケガもなく完走できたことに感謝しました。”

これって、完全に私達市民ランナーそのものですよね。
中年の頃にマラソンを知り、レベルアップを目指してトレーニングを行い、遅咲きながら生涯ベストとなるタイムを作ろうとしている私達のような市民ランナーからすると、学生時代も社会人でもマラソン漬けの人が書いたマラソン本は、あまり参考にならないのですよね。
中年市民ランナーは、年齢に応じたトレーニングが必要であると同時に、加齢の影響があるため、短期でのレベルアップが重要になってきます。

多くのマラソンのトレーニング本は、走力別に解説されているものの、年代別では解説されていません。20代の人と50代の人とが同じトレーニングをしても、レベルが向上する量も違えば、トレーニングによる疲労を回復する期間も違います。
そのため、もっとも参考になるのは、目標レベルを達成した同じ年代のランナーさんのトレーニング日記や方法論。まさにこの本なんですね。

マラソン歴が2~3年経過し、ある程度トレーニングに関して知識が増えると、トレーニング本はどれも同じ内容に思えるようになるため、知識を増やすよりも、モチベーションを上げるために読むようになってくるのですが、この本のような体験談は、参考になる部分が多いだけでなく、読み物としても面白いため、モチベーションアップ効果も非常に大きいです。
ちなみに著者はダイエット効果をうたっていますが、私は著者より身長は1cm低いのですが、体重は60kg、体脂肪率は11%。これで2時間55分は切れるので、ここまで落とす必要はないかもです。

市民ランナーオススメの1冊です。


走れ! マンガ家ひぃこらサブスリー 運動オンチで85kg 52歳フルマラソン挑戦記!