価格は727円と新書程度の価格ですが、1ページを新書と同じ程度の文字数に表示すると、100ページに満たない分量なので、一般的な新書の半分くらいの厚みの本となり、割高感があります。
しかし、文章量が少ない分、内容は無駄なくまとめられており、とてもわかりやすかったです。
こういった本を読む場合、著者の実力や実績が非常に重要となるのですが、この著者は2社の実業団を経験しており、自己ベストは5000m13分57秒3、10000m30分13秒4、マラソン2時間21分06秒といった実力者なので、本での内容も実体験を踏まえており、非常に説得力があります。
紹介されているメソッドが誕生したきっかけは、実業団時代の同じチーム内に、ケニア人ランナーのゲタンダ選手がいて、レベルが高いため一緒に練習をすることができなかったのですが、たまたま朝練を終えたゲタンダ選手にあった時に、どのくらいのスピードで朝練をしているのか聞いてみたところ、「快調走的な感じで最初はゆっくりとしたスピードで入っていき、体が温まったら50~60分の中に1分間のスピードアップを10本入れた」と教えてくれたそうです。
朝練は40~60分の時間走やジョグが一般的で、スピード練習的なものは今までやったことがなく、実業団の合同合宿でも、そういったメニューは行っていないそうです。
早速、朝練で取り入れてみたところ、効果が高い上に、疲労も残らずに夕方の本練習への影響もないという結果に。
そして、このトレーニングをアレンジして、著者の名付けたLARAメソッドに発展したのだそうです。
内容は、ジョグの中に2回のハイペース走を入れるというもので、
ジョグを15~20分
↓
50~60秒(または300~400m)のスプリント
↓
2分のジョグ
↓
1分30~40秒(または600~700m)のスプリント
走路は緩やかな下り坂を使う。
というもの。走り方のポイントや、このメソッドの原理は本書で詳しく解説されており、1週間のトレーニングスケジュール付きで書かれています。
そして、このトレーニングを取り入れて1か月後、30歳で5000mの自己ベスト13分57秒3を叩きだしたとのこと。
このメソッド以外にも、トレーニングに関するノウハウや体験談などがたくさん書かれており、中・上級者ランナーには、役に立つ部分が多いかと思います。
やはり実業団ランナーは、研究熱心ですね。その著者の性格が、本からヒシヒシと伝わってきます。
書籍としてはやや分量が少ないので、読み終えたあとは「もっともっと教えてよー!」とつぶやきたくなるのですが、実業団出身のエリートランナーさんの話は、なかなか聞けるものではないだけに、指導者のいない市民ランナーにとっては、参考になると同時に、やる気に火を付けてくれることかと思います。
早速、トレーニングに取り入れてみようかと思っています。