・サイズは小さめを選ぶ
・ヒールカウンターがしっかりしたものを買う
・靴紐を締めた時、アッパーに縦シワが寄るものは大きすぎ
・屈曲部分は拇指球のみで、シャンクはしっかりしたものを
・新製品はすぐに買わない
・大幅なフルモデルチェンジシューズは買わない
・初心者であっても上級者用と呼ばれるシューズを使う
「サイズは小さめを選ぶ」
つま先に指1本分の隙間とか、つま先側に足を寄せたときに、かかとに指1本分が入る余裕のあるシューズを選ぶといったことを一部の店員さんが説明しますが、あれは間違いだと思います。
アッパーがほとんど変形しない安全靴や重登山靴なら隙間が必要ですが、アッパーやソールに柔軟性があり、足にフィットしやすいランニングシューズの場合は、隙間や余裕はない方がいいです。キツメに感じるほどフィットしたシューズは、思いっきり速く走っても、シューズ内で足がずれません。何のロスもなくガンガン走れます。
私の場合はこんな感じ。かかと側に目一杯足をひっつけた状態で、つま先側に余裕はほとんどありません。アッパーに絶えず指が触れている状態です。
ショップで試し履きしたときに、パンパンに感じるくらいがちょうどいいのですね。
新品のシューズはアッパーもソールも硬いので、その場で足踏みしたり軽く走ったりするくらいでは馴染みません。実際にランニングで数回使わないと馴染みません。ショップでパンパンに感じるほどフィットしたシューズも、数回走ればちょうどよくなります。逆に、試し履きしたときにちょうどいいシューズは、数回のジョグで若干ルーズになります。
シューズはおろしたての時よりも、ヘタった時のほうが長く使うのだから、初期のヘタリを見越したサイズを買っておくべきなんですよね。
やや大きめのシューズでも平気で買ってしまう原因は、店員の説明の問題もありますが、成長期の子供の頃に、成長を見越して一回り大きなシューズを買って履くことが多かったと思います。大きなシューズでも、紐を締めれば問題なく履けるのですよね。あのルーズなフィット感が大人になっても残っており、つま先に余裕があるシューズを当たり前のように選択してしまうのも、原因の一つではないかと思います。
革靴やスニーカー、作業靴とは違い、ランニング用は非常にハードなスポーツの専用シューズ、あるいは競技用シューズで、普段履く靴とはまったく別物だということを認識し、今までのシューズの選び方や考え方は、一旦リセットすべきだと思います。
「ヒールカウンターがしっかりしたものを買う」
ランニング時は路面を後ろへ強く送り出す力が働くため、その足の動きをしっかり受け止めるのは、シューズのかかとの部分になります。
更に、蹴りだす時は足が拇指球部分で屈曲します。この時に、かかとのホールドが悪いようでは、上下に動いてロスしてしまうし、そのブレの負担は足の甲の部分で受け止めるようになります。
かかとに埋め込まれたヒールカウンターの作りがしっかりしているシューズで、足にピッタリフィットするサイズを選択すると、紐を締めなくても走れます。
足の左右のフィット感は、靴紐の締め具合で調整できますが、前後のフィット感は適切なサイズ選択と、かかとをしっかり包み込むヒールカウンターでしか合わせられないのですよね。
写真のように、ヒールカウンターがふにゃふにゃだったり、高さが浅かったり、かかと全体をしっかり包み込んでくれないものは、ソールと足の一体感が失われ、走っている最中にかなり違和感を感じるので、敬遠したほうがいいです。
「靴紐を締めた時、アッパーに縦シワが寄るものは大きすぎ」
靴紐を締めたときに、このように縦皺が入ったり、結んだ部分の靴紐が長く余ってしまったりするシューズは、サイズが大きすぎます。レース時に皆さんの足元を見ると、こういったシワ寄りシューズをよく見るのですよね。
このシューズがワイドならレギュラーに、レギュラーならスリムに変えたほうがいいです。
靴のサイズ合わせはソールの面積だけでなく、靴全体の体積も考えないといけません。偏平足の方や、足の指幅が広い方は、ワイドサイズを当たり前のように選択しますが、紐をゆるめた状態でキツく感じなければレギュラーでも問題はないはず。紐をしっかり締めないと緩くて足が動く方が、走る度に何度も何度もアッパーに皮膚や爪が擦り付けられるので、靴擦れになったり黒爪になったります。アッパー素材が絶えず足や指をしっかり抑えてくれていた方が、痛みは出にくいのですよね。
ただピッタリサイズを履く場合、爪の手入れも重要で、カットだけでなくヤスリで綺麗に揃えておくことも重要。足の皮が硬い方は、カットしたり角質をケアしたりしておくと、フィット感が増します。
また、ソックスは薄手が基本。厚手のソックスは、シューズの柔軟性や通気性、ホールド感を殺してしまいます。
「屈曲部分は拇指球のみで、シャンクはしっかりしたものを」
シューズを曲げてみたときに、軽い力で拇指球部分が自然に曲がるものが履きやすいです。
足はその部分しか曲がらないため、シューズもその部分しか曲がらないのが当然で、真ん中あたりがグニャリと曲がってしまうシューズは、曲がった時に土踏まずあたりが浮き、足の甲にテンションがかかってしまいます。紐を締めているので動くことはないにしても、足を蹴りだす度に、動きに関係のない部分が押したり引いたりしてしまい、無駄な力がかかってしまうのですね。
そして土踏まずのあたりに埋め込まれているシャンクがしっかりしているものがいいです。(緑色の樹脂製の骨組み部分)
この部分を曲げて見たり、シューズを雑巾のようにねじると強度がわかります。平らなテーブルの上にシューズを置くと、このシャンクの部分が浮いていると思います。
土踏まずのアーチが潰れないように、シューズ側でも支えているのですね。
足裏の荷重がかかる部分は、拇指球とかかとと、指の一部の腹の部分。それ以外は浮いています。土踏まずは沈下すると疲れます。シューズも、つま先側とかかと側だけに荷重がかかるようにしてあり、土踏まずはインソールにそっと乗っている程度。
またシャンクは、土踏まずのサポートだけでなく、かかとの外側(フォアフットは拇指球の外側)から着地してから、足全体に体重が乗るときの足のねじれのクッションにもなるし、傾いた路肩での走行や、カーブでの足のひねりのサポートとしても役に立っています。
マラソンは同じ動きを何度も何度も繰り返すため、負担を数値化して合計すればものすごい力になるはず。しかも着地時の片足の瞬間的な衝撃は体重の数倍。体重よりも重いアスファルトの塊を、何度も何度も足裏に叩きつけていることになります。そのため、この衝撃に耐えるシューズは、作りがしっかりしていないとダメなんですよね。
足の動きや構造に忠実なシューズは、足に優しいだけでなく、ロスが少ないと思います。
「新製品はすぐに買わない」
これはアディゼロなど海外メーカーに特に言えることですが、発売されてから数ヶ月、あるいは半年も経てば、一気に値下がりします。新製品は少しデザインや色が変わるだけで、基本的な部分は変わっていないのに、目新しさだけを理由に3000円も5000円も割高で買うのはもったいない。アディゼロは現行の型でもセールで半額なんてことはよくあること。それでも儲かるのだから、仕入れ値から安いわけです。
長期在庫品であまりにも古いと素材の経年劣化があるので買わないほうがいいですが、一世代型落ちくらいなら問題なし。日本のメーカーの場合はあまり値下がりしませんが、大量仕入れのショップでは仕入れが安いのか割引が大きいので、こういったショップを利用して安く買った方がお得です。(もちろん事前に最寄りのショップで試し履きが必要)
Amazonが直接販売している商品(マーケットプレイスではない商品)は返品無料なので、前後サイズを注文し、合わなかった方を返品ということもできます。自宅でじっくり吟味できるので便利です。それに、リアル店舗で扱っていないシューズのサイズ合わせするには、Amazonを利用するしかありません。
私はこまめにセール情報をチェックしているので、お値打ち品があればこのブログで紹介していきます。
「大幅なフルモデルチェンジシューズは買わない」
良いシューズは売れるので、定期的なモデルチェンジをしても内容はほとんど変わっていませんが、前のモデルとは似ても似つかぬデザイン重視のシューズは、売れないから大幅な改良を行っているわけで、そういったシューズを買うとハズレを引く確率が高いです。
私はアシックスのGEL-DSトレーナー13を買ったのですが失敗でした。アッパーの素材がナイキ風になって印象的だったのですが、この素材が柔らかすぎて、補強もされていないため、シューズ内で足が動きやすく安定しません。写真のように手の指でも簡単に伸びてしまいます。ヒールのホールド感も浅くて貧弱です。このシューズは毎回大幅なモデルチェンジを繰り返しています。その理由がわかりました。
これとは逆に、ターサージャパンやターサージール、ライトレーサーなどは色やデザインが変わる程度で、基本的な構造はほとんど変わっていません。変える必要がないほど売れており、完成度が高い証拠なんですね。
「初心者であっても上級者用と呼ばれるシューズを使う」
初心者用とか、ジョグ用、あるいはキロ6分ペース用などでシューズを分類していたりしますが、こういった分類は無視したほうがいいと思います。
初心者でこそ、ソールが薄くて硬い上級者、あるいはレース用と呼ばれるシューズを履くべき。
ソールが分厚く過保護なシューズは、下手な走り方をしても衝撃が少ないため、そのシューズでトレーニングをしても、足に負担が少なく軽快な走り方を覚えることができないのですね。ランスマの亮さんのように、ブレーキのかかるドタドタした走り方になってしまいます。
走りの綺麗な上級者ランナーは、着地音が非常に小さい。タッタッタッといった音です。小さな接地面積で鋭く路面を叩くような感じ。
重くてソールはふわふわクッションで、アキレス腱やベロの部分のパッドが厚い、過保護なコテコテシューズでは、軽快な走りを学ぶことは難しいどころか、故障すら誘発してしまいます。
ベストな走りを一番理解できるのが裸足です。
公園やトラック、体育館など、安全で清潔な路面を利用し、短い距離でいいので裸足で走ってみると、衝撃が少なく速度を落とさない走りはどういったものかを体感できると思います。
レース用や上級者用のシューズは、裸足感覚に近いものが多く、アスファルトという特殊な路面から足を最低限保護する目的で作られているようなものなので、こういったシューズを利用して、理想的な走りを完成させていくといいかと思います。
そして、疲労を回復するためのジョグをしたり、ロング走など足の保護を優先しなければならないときは、ジョグ用と呼ばれるシューズを利用するといいと思います。
そのためシューズは、レベル別で分けるのではなく、トレーニングの目的別で分けるべきだと思っています。特性の違うシューズを最低でも2足、できれば3足用意し、上手に使い分けるほうが、上達のために効果的だけでなく、靴を休ませて寿命をのばす意味でも効果があると思います。
「まとめ」
自分にジャストフィットのシューズを見つけると、トレーニングにも張り合いがでますよね。走りやすいのでストレスがたまりません。
私がオススメするシューズは、アシックスのターサージールと、アディゼロのタクミレンブースト。
ジョグ用はミズノの、NEXUS7がコスパが高くていいのですが残念ながら廃版に。
どれもアッパーの当たりが優しいので、やや小さめのサイズを買い、数回走り馴染ませれば、自分の足の一部のようにフィットします。
タクミは拇指球部分に柔らかいブーストフォームを使っているので、フォアフットやミッドフットランナーさんに最適。
かかと着地のランナーさんは、ブースト部分が柔らかくて逆にロスになってしまうので、ターサージャパンのように、かかとの保護を重視し、拇指球は弾むような硬さの素材(スピーバ)を使っているタイプが向いているかと思います。
ターサージールは軽量でクッションがいいソライトをミッドソールに使用するだけでなく、インソールもヘタリが少なくやや厚めの素材を使っているので、ソールが薄い割にはクッション性が良く、硬いアスファルトからの衝撃を和らげてくれます。このシューズで衝撃が強いと感じているようでは、走り方が下手な証拠。改善の余地ありです。
それと、ソックスの厚みでずいぶんフィット感が変わってしまうので、基本は薄手のソックスを使うようにし、ヘタリがひどくなってきたらやや厚めのソックスを使うといいし、別のシューズのインソールに入れ替えてみるのもしっくりくる場合があります。
ヘタったターサージールに、GT-2000に使われているスポンジタイプのインソールを入れて使うと、回復目的のジョグとして使えるほど、柔らかくて足に優しいシューズに変化します。
それと、ジョグ用のシューズは丸や楕円の形状の紐を使っていますが、締め付けにくく解けやすいので、平紐に替えるとしっかりします。
いくつかシューズを買ってみると、どういったシューズがいいのかがわかるのですが、結局は、レベルの高いランナーさんが愛用しているシューズに行き着いてしまいますね。
デザインを重視したり、人とは違ったシューズを履きたい気持ちはあるものの、ランニングに使うシューズは、性能が悪いとどうしようもないです。
それと、サイズ合わせが非常に重要で、自分の今までのサイズ合わせの感覚をリセットした方がいいです。
トレラン用では海外製が多いのですが、日本人用のラストを使って生産されていないものが多く、細長くて足に合わないものがほとんど。トレランでは前後左右に大きな力がかかるので、ロード用よりもはるかに強いフィット感が重要になってきます。私はゲルフジトレーナーを使っているのですが、このシューズは本来のサイズよりもやや小さめに作られていました。買った当初は失敗したかな?足先を痛めてしまうかも。と思っていたのですが、キツメでないと山ではホールド不足になるのですね。ガンガン上っても激しく下っても、ブレない、ズレない、暴れない。石の上に乗っても不安感がないです。さすがアシックス。よく考えられているなと関心しました。
足に合わないにも関わらず、デザインやブランド、価格を理由に買ってはいけないようです。特に海外製は要注意。人の話では、国内メーカーでも逆輸入品は全然合わないらしいです。人種が違うのだから当然ですよね。
また、裸足で走るのが理想ではありますが、舗装路は裸足で使うことを想定して使われていないので、安全面や衛生面で問題があるし、そもそも人間は他の動物と違い、身一つでは自然に太刀打ちできなかったので、頭脳を使って衣類や草履、帽子などの保護具を作り、それを使って他の動物と対等に渡り合ってきたのですね。用途に応じた道具や、スポーツの種目に適した道具を使うのが人間の本来の姿。
あらゆる大地を裸足でも駆け回れるように、硬い肉球や、鋭く硬い爪に進化した動物とは違い、人間の場合は裸足で耐えられるほど進化しておらず、不自然なアスファルトに対してはなおのことです。
実験的に裸足で走って、負担のない走りを確認することは大事ですが、舗装路を常時裸足で走るのは、特殊な趣味の領域であり、マラソンのためのトレーニングとしては、百害あって一利なし。高性能シューズでおもいっきり走ったほうが、レベルアップできると思います。
これが最高!というシューズを見つけて、トレーニングに活用してください。ランニングがより一層楽しくなるし、上達も早くなると思います。