2015/09/08

走り込み期

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秋は冬の本命レースのための走り込み期。
早い方は8月から走り込み期に入っている方も見えますが、猛暑の時期は暑さに耐えることに精一杯で、脚力や心肺機能を追い込むスピードまで上げることができず、頑張った割には効果が薄いのが難点。しかし、気温や湿度が下がり出す今からの時期は負荷を上げられるようになり、トレーニング効果を大幅にアップできます。



私は盆明け以降を走り込み期と位置付けており、低負荷のジョグや自転車利用が多かった夏のメニューから、ペースが遅めのロング走(25~35㎞)、8~15㎞のペース(LT)走やインターバル走を増やし、スタミナ、スピード双方の能力を10月中旬頃に合致させ、30㎞走を理想のペースで確実に走り切れるようにしてから11月のレースに挑もうと思っています。
トレーニングで30㎞走でのタイムを最終ハードルにするのは、小出監督の本から学びました。

本ではサブスリーが目標の場合、20~30㎞の距離をキロ4分~4分5秒のペースで走れることを目指しています。かなりの難関ですが、これほどの走力がないと、本のタイトルにある走り方はできないのでしょうね。


私の目標は、現在のフルのタイムが2時間52分44秒なので、自己ベスト更新、あるいは2時間50分切りを目指したいところですが、加齢というパフォーマンスダウンがあります。
全日本マラソンランキングのデータ分析によると、28歳をピークに、1歳増えると1分30秒タイムが落ちるとのこと。そのため私の場合は、2時間54分14秒が現状維持のタイム。このタイムを更新することを目標にしました。持ちタイムからすれば、達成できそうな現実的なタイムですよね。
もちろん、このタイムを狙いながらも更に上を目指したいのですが、実力よりもはるかに上のタイムを目標にしてしまうと、前半飛ばして後半潰れるような走りになってしまうし、目標達成の確率も低くなるので、がっかりする可能性が高まってしまいます。

サブスリーを狙っている方で、なかなか達成できない方が多いのですが、現在の持ちタイムからすると、サブスリーを目標に置くには早過ぎる方が多いような気がします。サブフォーレベルなら大幅なタイム更新が可能ですが、3時間20分を切れるレベルになると、数分の更新が結構大変になってきます。
サブスリーを現実的な目標に置くのであれば、現在の持ちタイムが3時間5分程度が妥当ではないでしょうか。達成可能な目標にした方が、スタートから目標タイムに合わせたペースで走れるため、30㎞あたりでガタ落ちすることなく、トレーニングで走力が上っていれば、後半部分からタイム更新の走りができるような気がします。

私の場合、走り込み期のメニューは下記のようになり、

ロング走
ペース走
インターバル走
ジョグ(または自転車)
休養

一般的なメニューと変わりはないのですが、走り込み期だからといきなり強度を上げることはせず、徐々にレベルを高めて走力を右肩上がりにし、レース2週間前あたりにピークを合わせるようにすれば、無理をすることなく中だるみすることもなく、レベルアップできるかと思います。
具体的な走り方や設定ペースは、アドバンスド・マラソントレーニングという本を参照するといいようです。

(この書籍はAmazonでも楽天ブックスでも現在売り切れ中。本屋さんか図書館でチェックを。)

抜粋、一部要約しますと、

・ロング走

26キロ以上の距離を走る。ロング走の効果を最大限に得るためには、適切な強度の範囲を走ることである。
皆さんが単に時間をかけているだけのゆっくりしたジョギングではない。
最も有益な強度の範囲は、目標のマラソンのレースペースよりも10~20%遅いペースである。
最初の部分は、この範囲の一番遅いペースから走り始め、次第にペースを上げて最後の8~16㎞が、目標とするマラソンペースのおおよそ10%遅いペースとなるように走る。

・ミディアムロング走

18~24㎞くらいの距離を走る。
ロング走で得た生理学的な効果を強化する。最大の生理学的効果を得るためには、ロング走の時と同様のペースで行うべきである。

・マラソンペース走

距離はミディアムロング走、またはロング走。目標とするマラソンペースでのランニング。
ミディアムロング走やロング走の時と同じように、初めはゆったりとしたペースで走り始め、終盤はマラソンペースで走る。
例えば、25㎞のスケジュールでマラソンペースが19㎞の場合、最初の6㎞は徐々にスピードを上げ、その後19㎞をマラソンペースで走る。

・有酸素走

皆さんが行っている16㎞までの、頑張り過ぎない程度の標準的なランニング。LT走よりもペースが遅く、ミディアムロング走よりも距離が短く、回復走よりはペースが速い。
有酸素走の目的は、トレーニング量を増やすことによって、総合的な有酸素能力を促進することである。
このトレーニングの最適強度の範囲は、マラソンのレースペースよりもおよそ15~25%遅い。

・LT走

ペースは15㎞からハーフマラソンのレースペースとほぼ一致する。
LT走の距離は6~11㎞の範囲である。
3~5㎞のウォーミングアップの後に実施し、トレーニング後は10~15分のクールダウンを行うべきである。
一例として、ウォーミングアップ5㎞、LT走8㎞、クーリングダウン3㎞。

・回復走

リラックスしたペースで行う比較的短いランニングである。最大心拍数の76%未満。
できれば、柔らかい走路で回復走を行うこと。

・VO2maxインターバル

5㎞のレースペース、最大心拍数の93~95%で走る。休息の時間は疾走時間の50~90%。
例えば、1000mを3分20秒で繰り返し走るのであれば、インターバル間(ジョグ部分)はゆっくりと1分40秒~3分間走るようにする。

・スピード走

50~150mの距離を繰り返し走ることで、脚の速度とランニングフォームを改善する。この練習は、レース中に素早い脚の回転を維持するための神経系を鍛える。
代表的なのは、100mを10回繰り返し走る方法で、トップスピードまで加速し70mまで走り、残りの30mを流すように走る。
加速区間ではよいフォームで走ることに集中し、毎回、1つの局面に焦点を絞る。例えば、この1本は腕をリラックスさせる、次の1本は股関節を伸ばしきる、など。
繰り返しの間にとる休息の方法は、100~200mのジョグやウォークである。


となっています。
意識的に遅く走るLSDはメニューにありません。また2部練も否定的。

マラソントレーニングをしていて週間走行距離が121㎞に満たない場合、ロング走や週半ばのミディアムロング走ができていないうちは、週に1回もしくは2回以上、2部練習をして距離を稼いでも意味は無い。それよりも、長めに走って各練習の間に22~23時間の休息を身体に与えたほうがよい。

2部練に関しては、川内優輝選手も否定的ですね。

ランディノート: 川内優輝選手のトレーニング理論



それと、最大心拍数の求め方は、この本では、

207-年齢×0.7

となっていますが、個人差があり実際の心拍数はこれよりも10bpm以上の差が出る可能性があるため、正確な心拍数を実測することが望ましいとあります。
ウォーミングアップをしっかり行った後、600mを高い強度で3本、ゆるやかな傾斜で走り、その都度ジョグですぐに戻ってくる。この600mをこれ以上走れなくなる強度で走ると、3本目を走り終えた時の心拍数は、最高心拍数と2~3bpm差の範囲内に収まるはずである。と書かれています。

各メニューの距離とおおよそのペースは、私の場合ですと、

ロング走 26㎞以上 キロ4分30秒
ミディアムロング走 18~24㎞ キロ4分30秒
マラソンペース走 18㎞以上 前半キロ4分30秒 後半キロ4分
有酸素走 16㎞以下 キロ4分45秒
LT走 6~11㎞ キロ3分47秒
回復走 8㎞程度を5分30秒~6分ペースくらい。
インターバル走 ヤッソ800や1000m キロ3分38秒
スピード走 ウィンドスプリントのこと

といった感じになります。
私の場合、インターバル走はダイナミックで力強いフォームを習得できる400m(リカバリー200m)×15本のショートインターバルと、サブスリーなら800mを3分、2時間50分なら2分50秒、リカバリーも同タイムと、設定タイムがわかりやすいヤッソ800(リカバリー400m)×10本、そしてトラックでなくても走れる1000m(リカバリー200m)×5本の3種。1000mを10本走るパターンもあるようですが、それだと1本のタイムを抑えなければならず、LT走と大差ないペースとなるので、1000m×10本なら、ペースが安定しやすく追い込みやすいLT走10㎞をするようにしています。
また、メニューを簡素化するために、ミディアムロング走、マラソンペース走、有酸素走、LT走をすべてペース走とし、その時のメニューのバランスを見ながら、距離やペースを選択するようにしています。
走れる時間や、体調、天候(特に気温や湿度)により強度は左右されますが、この本の内容を基本にして取り組んでいけば、成果は出そうですね。


そして、ポイント練習と同じくらい大切なのが休養。
走り込み期で負荷が高くなればなるほど、休養日を充実させ、いかに確実に早く回復させるかも、重要なトレーニングの一環となります。
回復には、BCAAが良いとのこと。

オーバートレーニングを回避してポジティブにトレーニング! | アスリートLab produced by EVOLUアスリートLab produced by EVOLU



BCAAは多くの食材に含まれているので、高価なサプリを買う必要はないと思います。

アスリートも基礎代謝アップを目指す方も、日々の食事でBCAAチャージ! : タニタ運営[からだカルテ]



サプリはあれだけ多額の宣伝費をつぎ込んでも儲かるわけだから、非常に原価が安いということになりますよね。そんな商品を買うのはお金がもったいないし、臨床試験で証明された医薬品ではないので、効果の怪しいものや粗悪品もあります。メーカーも多種多様で、どんな材料を用い、どんな設備でどうやって作っているのかもわからないのが現状。
それに対して、一般的な食材で料理したものは栄養価が高いし、各栄養素の複合的な助け合いによって、栄養の吸収も促進されます。そして、なんといってもおいしい。

ランナー向けの栄養素が含まれた食材を組み合わせを考えると、完全栄養食品の卵、BCAAとタンパク質が豊富な鶏胸肉、重要なエネルギー源である炭水化物のご飯がミックスされた親子丼というのは、理にかなった調理法ですね。



野菜タップリの味噌汁と、腸の働きを助けるヨーグルト、疲労を回復する糖質やビタミン、クエン酸が含まれた果物をデザートとして食べれば、パーフェクトではないでしょうか。



そして、一般的な食材からはコンスタントに摂取しにくい鉄分だけは、医薬品の鉄剤の力を借りるようにするといいかと思います。
鉄分不足による貧血でのパフォーマンスダウンは、ランナーには致命的なので要注意です。


また、ランニング後にビールをキューっと飲みたいところですが、運動後約1時間以内は栄養吸収に適した時間帯。この時にビールを飲むのと、牛乳や豆乳を飲むのとでは、身体に対しての効果は雲泥の差。アルコールは脳を麻痺させるので精神的に癒されますが、体にとっては毒以外の何物でもなく、血液にまで入り込んだアルコールの解毒にエネルギーが奪われ、肝臓を中心とした内蔵に負担がかかります。
仕事などで精神的に疲れたときはアルコールは効果的ですが、運動で肉体的に疲れたときはアルコールはできるだけ控えた方がいいと思います。
私は長年禁酒をしていたのですが、最近復活させました。しかし、アルコールのおかげで数時間だけ精神的に癒される効果よりも、睡眠中に解毒に使われる疲労や、睡眠の質の悪影響の方が大きく、寝起きの状態も回復の進み具合も芳しくないので再び禁酒に。何が何でも飲まないわけではないですが、自ら率先して飲まないようにしました。おかげで体調良くなり、脚の痛みや疲労の回復が早く、食欲旺盛なのに胃腸の状態は良好。

1日目に自転車で峠越え(獲得高度1982m)付きの100㎞ライド、2日目に30㎞のロング走(5'00/㎞)、3日目に8㎞のペース走(3'50/km)と6㎞ジョグというポイント練習3連発を行いましたが、4日目は何事もなかったかのように回復し、20㎞ほど走りたい気分です。もちろん、次回のポイント練習の質を高めたいため、無駄に走らず休養としました。
以前のように毎晩欠かさずビールや酎ハイをガブガブ飲んでたら、私の今の年齢と体力ではこなせなかった(やる気すらおきなかった)メニューです。


走り込み期はトレーニング量が増えるだけでなく、レベルが高いランナーさんだと、故障発症や慢性的な疲労のギリギリラインを攻めることになるし、トレーニング時の体感気温の差や、乾燥からくる呼吸時の喉の痛み、そして疲労で免疫力が弱っているのもあり、ウイルスの格好の餌食になるので、一般人以上に自己管理は徹底すべき。今の期間は神経質なくらいでちょうどいいのかもしれません。
秋雨前線や台風のおかげで、天気がイマイチな日が多いですが、冬のレースでガッツポーズでゴールできるよう、そして目標に達しなくても後悔しないよう、頑張ってトレーニングをすすめてみようと思います。