2015/10/17

なぜか評価の低いマラソン本

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雑誌ランナーズの表紙にも出たことがある鈴木莉紗さん。現在はアートスポーツに契約するマラソンランナーとのことですが、この鈴木さんがマラソン本を出版されました。
しかし、Amazonのレビューでは評価がイマイチ。


ところが、レビューで低評価を付けている人は、本の内容よりも、走力の高い鈴木さんにひがんでいる発言ばかり。
確かに、彼女のマラソン歴を見てみると、スタート時点から走力が高く、5㎞の初レース(23分)からおよそ1年後に3時間11分14秒、その3ヶ月後に2時間56分36秒、その1年後に現在の自己ベストの2時間43分36秒を出しており、一般的な市民ランナーからすると、レベルアップの速さや走力の高さが異次元ではありますが、学生や社会人の陸上部に所属するランナーからすれば、極端に抜きん出ているレベルでもなく、陸上選手として活躍できる能力を持った人が、たまたま一般人にいただけということになりますね。
マラソン以前は水泳もされていたのか(トレーニングに水泳が含まれている)、持久力や心肺能力はある程度備わっていたようだし、負けず嫌いの性格だそうで、負けたくない一心で、トレーニングもかなり努力された様子が練習メニューから読み取れます。
タイトルの1日10分も走れなかったと言うもの、キロ4分ペースの話しだったかもしれません(笑)

そしてこの本、著者は鈴木莉紗さんになっていますが、監修が平塚潤氏。平塚氏の経歴は検索してもらうとわかる通り、真の実力者であり指導者でもあります。
この本のトレーニング内容の提示と解説はすべて平塚氏が受け持っており、鈴木さんは自分の体験談と、補強やストレッチの部分、そしてQ&Aの半分を担当しているだけで、マラソンのためのトレーニングメソッドはすべて平塚氏の理論が展開されているのですね。
トレーニングの対象レベルはサブ3、3.15、3.5となっており、本のタイトルが"3時間を切るために"にあるように、中級以上のランナー向けとなっています。
ということで、Amazonのレビューで低評価を付けている人は、本当にこの本を読んだのか、甚だ疑問に感じます。


内容は、走力アップのポイントが簡潔にまとめられているため、文章量は少なく、若干割高感は感じますが、私には参考になる部分が多く有益でした。この本の私の読書メモを一部書き出して見ます。ペースタイムはサブスリーを目標としているランナー向けのタイムのみピックアップしています。
文章はそのまま引用しておらず、割愛、簡略などしています。

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キーワードはスバリ「効率」。
大切なのは(1ヶ月の走行距離ではなく)内容と質、そしてメリハリなのです。


スピード練習と距離走を上手に組み合わせる。(セットメニュー)
1日目 スピード練習 1000m×5本 つなぎのジョグ200m 3'50/kmペース
2日目 距離走 25~30㎞ 4'30~4'45/kmペース 後半ビルドアップ


月間300㎞台でサブスリーは十分達成できる!
遅いペースでダラダラ走る距離稼ぎのジョグをするのは逆効果。なぜならフォームが崩れる原因となるからです。


フォームは軸のブレない走り
走るときに意識するのは肩甲骨を使う(寄せる)ことと、腰を高く保つこと。
腰を高く保つには筋力強化を図る。


Q、ストライド走法か、ピッチ走法か?
A、肝心なのは、自分に合っているかどうか。自分が一番ラクに走れる歩幅とリズムを見つけることが大切。

Q、腰高フォームとは?
A、スローペースで走ると腰が落ちるので、普段のジョグでも腰高フォームを保てる程度の速さで走ること。

Q、つま先着地か、かかと着地か?
A、自分に合った自然な着地であれば、どちらでもOK。


サブスリーのその先へ私を強くしてくれた鬼の練習メニュー(鈴木莉紗)
・1000m×10本のインターバル(3'30/km)
・5000m×3本のインターバル 徐々にタイムを上げていって最後は自己ベストに近いタイムまで上げる。
・30㎞は本番レースまでに5本。キロ4分前後。
距離を踏んで安心するのではなく、走り込み初期は20㎞に距離を落としてでもペースは死守する
マラソンはメンタルが深く関わる競技。苦しいと思うと恐くなる。だからこそ、練習で苦しさを克服することで自身がつく。


ポイント練習は4種

・距離走 20~30㎞ 4'30~4'45/㎞ 2週間に1回
・ミドル走 15~20㎞ 4'20~4'28/㎞ 週に1回
・ペース走 5~10㎞ 3'50~4'00/㎞ 2週間に1回
・インターバル走 1000m×5本 リカバリー200m 週1回
 1000m×5本 3'50
 2000m×3本 8'00


年間スケジュール

3月 リカバリー期
・やり過ぎない、追い込み過ぎない
・遅すぎるジョグはフォームが悪くなるのでNG
・インターバル走は設定タイムは普段より5~10秒落とす
・ロングランは25㎞まで
・鍼やマッサージで筋肉のリカバリーを

4~5月 スピード切り替え期
・5㎞~ハーフのロードレースを
・この時期無理にフルマラソンを走ってもあまり意味が無い
・インターバル走、10㎞までのペース走、15㎞のビルドアップを柱に
・この時期はスタミナが落ちても気にしない

6~8月 スピード養成、身体づくり期
・暑い中、長時間の練習は逆効果。負荷を上げて短時間で終わらせる
・ロングランは25㎞まで
・走り込みは涼しい場所で
・本格練習に備えて筋トレを

9~11月 スタミナ養成期
・距離走を開始。30㎞を月に1~2度。
・最初の30㎞走はラクなペースで現状のスタミナ確認を
・インターバル走は最後の1~2本を上げる
・セットメニューが効果的
・11月はハーフで自己ベストを

12~1月 本格マラソン練習期
・長い距離を踏むことを意識
・5000mまたは2000mのロングインターバル
・30㎞走は毎週走る必要はなし。ただし、設定ペースは守る。
・ゆっくり走るロングランは意味なし


レース6週間前からの調整メニュー

5~6週間前
ハーフレース出場

4週間前
30㎞走 レースペースの5~10秒ダウン

3週間前
30㎞走 ラクなペース。レースペースの20~30秒ダウン

2週間前
15㎞ビルドアップ走

1週間前
5㎞走 レースペースよりも少し早いペースで。

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平塚氏は、LSDのような遅いジョグは否定的なのと、月間走行距離を無駄に伸ばすのも否定的。この点は私も同意。
他にも、年間スケジュールの立て方、詳細な月間トレーニングメニュー、平塚氏の指導の元、鈴木莉紗さんが実際に行ったレース3か月前からのトレーニングメニューなども紹介されています。

Amazonの低評価レビューを付けられている方は、肝心なところは読んでいないのか、この本タイトルの"3時間を切るために"というレベルに見合わない初心者ランナー、もしくは、学ぶ意欲がなくネガティブ思考で、一向に上達できないランナーかと感じました。

分量的にちょっと物足りなさは感じますが、十分参考にできる本だと思います。