iPhoneと連携できる腕時計、CASIO STB-1000が届きました。
この時計で何ができるかは、CASIOのページを見れば一目瞭然なので、どんなものなのかを知らない方は、まずはこちらのページをチェックしてみてください。
Bluetooth(R) SPORTS GEAR STB-1000 - CASIO
このページではわからない部分の感想を書いてみます。まず、長所から。
■通知が意外と便利
iPhoneへの電話やメール、リマインダー、各アプリのプッシュ通知が、BT経由でこの時計にアラームとバイブが鳴る仕組みなのですが、これって、iPhoneをいつもポケットに入れてあるのなら不要ですよね。ところが、実際に使ってみて便利に感じたのは、iPhoneをポーチやバッグに入れているときと、自転車やバイクに乗っているとき。こういった場合は、iPhoneに通知があってもわかりにくいのですが、腕時計でバイブすれば、どんな状況でもすぐにわかります。
また、iPhone 6 Plusや、iPad、iPad miniなどを使っているのであれば、基本的にバッグに入れている場合が多いので、時計からの通知は非常に役に立つと思います。
そして、今の通知は何の通知なのかを文字で知らせてくれるので、すぐにiPhoneでチェックすべきかどうかを、時計を見て判断できます。
■ランニングアプリとの連携
この時計の一番の売りでもあるのがこの機能。iPhoneで走行ログを取っている場合、現在の距離やペースなどは、iPhoneを取り出して見るか、アナウンス機能を使うしかないのですが、この時計ならGPSウォッチを使うかの如く、走りながら数値をチェックできます。接続もアプリにCASIOの設定があるので簡単。画像はRunmeterの場合。
下の画像はRuntasticの場合。
いくつかのランニングアプリに対応していますが、一番多機能なのはRunmeter。Runmeterの場合、表示する数値を自分の必要なものにカスタマイズできるのですね。
また、ボタンの割り当ても好きなように決められます。
アプリを立ち上げ数秒待てば、自動的にアプリと時計と連携され、時計側はタイムや距離などを示す表示モードに切り替わります。スタートしたらiPhoneはポケットやウエストポーチへ。時計に表示される数値は、ボタンでページを切り替えたり、時間ごとに切り替えたりが可能で、ランニングが終了し、時計のボタンを押せば計測はストップされ、時間が経てばアプリとの接続は自動で解除され、画面が時計モードに切り替わります。もちろん、iPhoneと時計とのBTのペアリング状態は維持されているので、通知などは今まで通り届きます。
■バッテリー
GPSや心拍計などのセンサーが内蔵されているわけではなく、一般の時計との違いはBT通信の部分だけなので、バッテリーは充電式ではなく、交換式の安価なボタン電池。カタログ値では約2年も持つとのこと。普通の時計と同じ感覚で使えます。
■デザイン
これは長所でもあり短所でもあるわけですが、オシャレな他のスマートウォッチと比べるとデザインがイマイチ。ただ、アウトドアやスポーツ用のルックスのタイプは少なく、CASIOのデザインが好きな方にとっては、STB-1000はCASIOらしくていいという意見もありそうです。特に、使い方が荒い方は、多少の汚れや傷が目立ちにくく、気を使うことなく使えるデザインや材質なので、私は気に入っています。赤/黒を買ったのですが、このカラーリングも結構お気に入り。最近買ったシューズとお揃いになりました。
■オートライト
これは多くの時計に備わっている機能なのですが、時計を目の前に持ってくると自動でバックライトが光るというのは、やはり便利ですね。GPSウォッチもこの機能を付けて欲しいところ。
■時刻合わせが不要
BTでiPhoneと接続すると、iPhone側の時計の数値が腕時計側に反映されるので、手動で合わせる必要がないし、iPhoneの時計はネットで補正されるので、電波時計のように正確な時間がわかります。
■時計の設定がiPhoneから可能
時計のボタン操作で行う設定操作は非常に複雑で、マニュアルを見ないとわからないのですが、この設定をiPhoneで行えるので、簡単に済ませられます。
音楽コントロールも、ボタン設定が可能。
■BT接続切れの通知と、iPhoneサーチ機能
BTの通信が切れると、アラームかバイブが鳴る仕組みなのですが、iPhoneをポケットに入れず、デスクに置き忘れたりした場合、BTのエリア外に出ればバイブが鳴るので、置き忘れに気づくことができます。
また、iPhoneをどこへ置いたのかわからなくなった場合、時計の右上のFINDボタンを長押しすれば、iPhoneからアラームが鳴るのですぐに見つけ出すことができます。
着替えたとき、iPhoneをジャケットのポケットに入れっぱなしにしてしまい、どこへ置いたのかわからなくなるような場合があるのですが、こういった時に重宝する機能です。
「次に短所。結構多いのですね。」
■音楽コントロール
時計側からiPhoneの再生コントロールが行え、ボタンの割り当てもカスタマイズできるのですが、
このコントロールのモード切り替えは、CASIOのアプリから行う必要があるのですが、ランニングアプリを起動して計測後、再び時計モードになると、音楽コントロールのモードは解除されてしまい、再びCASIOのアプリから設定をしないといけません。
また、音楽はiPhoneの標準のアプリのみで、ネットラジオやポッドキャストなどのアプリの再生では、音量の上下と停止しか操作ができず、停止後再び再生すると、iPhoneの音楽の再生になってしまいます。
そのため、音楽のコントロールはリモコン付きのイヤホンを使うか、BTオーディオレシーバーを使った方がスムーズなようです。
■ボタンの反応が遅い
腕時計自体の操作は問題ないのですが、BT経由で通信した場合の操作は、2秒ほどのタイムラグが出てしまいます。例えば、Runmeterの表示モードで、画面のページ切替を行うと、ボタンを押してすぐには切り替わらず、あれ?と思って再度押すと、結局2ページ目へ移動してしまいます。
音楽も同じで、次の曲へスキップしてもすぐに反応しないので、押し直すと2曲目へといった具合。その時間差に慣れれば問題がないのですが、このタイムラグはBT通信の欠点でもありますね。ランニングのタイム表示も、時計とiPhoneではわずかにずれています。
■アプリとの接続が遅い
ランニングアプリを起動すると、自動的に時計が連携し、ランニングの数値画面に切り替わるのですが、この動作に10~20秒ほど待たされます。ランニングアプリは起動して少し待った方がGPSの精度は高まるので、この程度の待ち時間は問題がないのですが、たまにうまくつながらない場合もあるので、もう少し速いほうがいいかと。
■液晶の見やすさがイマイチ
これは、他の腕時計と比べれば同じレベルで問題はないのですが、GPSウォッチや、他のスマートウォッチと比べると、やはり見劣りします。正面はいいのですが、
液晶のバックが茶色っぽいので、字がクリアに見えにくいのと、コントラストもさほど強くなく、液晶画面も大きくはない。通知の文字も、5文字程度しか表示できないエリアでスクロールするタイプなので、内容はわかるものの見づらいです。
この時計の販売価格を思うと、高性能な液晶をつけるのは無理なことかもしれませんが、もうちょっと何とかして欲しかったかと。
■BT接続がうまくいかない時がある
ランニングアプリを使った時に起こる症状なのですが、アプリとの連携でのBTサーチに時間がかかり、挙句の果てに接続あきらめてしまうという状態。ボタンを押してBTを再接続するか、CASIOのアプリを起動して再接続を行うと直るのですが、意外と出やすい症状なので、何とかして欲しいところ。
iOSやアプリ側に問題があるかもしれないので、今後のアップデートで改善されるのかもしれませんが、この時計の国内発売と、iOSのアプデの時期が重なってしまったのも問題ではありますね。
■Android非対応
iPhoneの進化に見切りをつけて、Android(Xperia Z3 Compact)へ引っ越す予定の私としては、何でこれを買ったの?と突っ込まれそうですが、Androidにも対応していれば、さらに売れたでしょうね。iPhone人気は根強いですが、Androidの新機種の盛り沢山な機能を見ると、Appleが好きな信者でなければ、iPhoneを選択する理由ってないほど、Android機は進化してますもんね。
「総評」
この時計の最大の長所は、価格が安い点と、ランニングアプリに対応している点。他のスマートアプリと比べると、見た目も機能もやや劣るので、安くて当然かもしれませんが、普通のスポーツウォッチにiPhoneと連携できる機能が追加されたようなタイプなので、G-SHOCKを買うのならこれを買った方がお得で便利といった感じでしょうか。
特に便利なのは、ランニングアプリの連携機能。逆にこれが目的でない人は、別の時計を買ったほうがいいかと思うのですが、対応しているRunmeterやRuntasticはかなり優秀なアプリだし、iPhoneを使われている方が、高価なGPSウォッチを買うのであれば、STB-1000を買ってiPhoneと併用したほうが安上がり。今まで通りアプリを使い続けられ、過去のデータへ蓄積することができます。
腕時計とパソコンと接続できるタイプではないので、ファームウェアのアップデートも不可能なタイプですが、iOS用のCASIOアプリはアプデされることかと思うので、使いやすさが増すかもしれません。
iPhoneのRunmeterやRuntasticなどのアプリで、ランニングやウォーキング、自転車のGPSログを取っている方には、オススメの製品です。特に、CASIOは腕時計としても一流の国内メーカーなので、本体やバンドの強度、耐久性、サポートなど面で、他のスマートウォッチメーカーよりも優れているかと思います。
現時点で、どのメーカーのスマートウォッチも、まだまだ過渡期で評価も賛否両論なのですが、他の時計のような充電式でバッテリーの稼働時間が短いものではなく、一般的なボタン電池を使用し2年も持つようなこの製品であれば、普通の時計としても末永く使えるし、価格も比較的安価なので、とりあえずどんなものか試してみたいという最初の1台としても、向いているかもしれません。