2014/11/17

効果的だったマラソントレーニング

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マラソンのトレーニング法は確立されており、どの教本を読んでもほとんど同じ内容になっているので、それに従ってトレーニングをすれば上達するのですが、私が行った方法で、効果が高かったものは、

・ペース走
LT走(ハーフマラソンのペース)、ペース走(フルマラソンのペース)、ミドル走(フルのペースの10~20秒ダウン)で10~15km走る。

・ロング走
25~35kmを走る。ペースはジョグペース、ミドルペース、フルのレースペースなど様々。

ポイント練習はこの2種。そして、下記の3つのメニューをポイント練習の間に入れます。

・ジョグ
10~20km。ペースは5~6分/km。目的はマラソン向けの体質、体型の維持、ポイント練習の回復促進、気分転換、ストレス発散、健康維持。

・休養
十分な睡眠と栄養補給。回復を促す半身浴や交代浴、マッサージ。そして故障を予防するストレッチ。休養もトレーニングの一環です。

・補強
走りとフォームを安定させるための体幹トレーニング。


ペース走のいいところは、苦しいレベルを維持しながら走らなければいけないので、無駄のない効率的な走り方を試行錯誤しながら改善できる点。スピードトレーニングにはインターバル走もありますが、ペースが速くなったり遅くなったりとバラつきが出やすいのと、苦しい分、リカバリーを休み過ぎになりがちで、強度のコントロールが難しいのですね。その点ペース走は、一定ペースで走り続けるので時計を見ながらペースコントロールがしやすく、レースに等しい速さと負荷で走るので、適切な走りをシミュレーションできます。

ロング走は、持久力を鍛えるため。ジョグのようなペースでも、30kmあたりではかなりキツく感じるので、ロングでのトレーニング効果の高さを実感できます。フルのレースペースで30kmを走れば、レースに近い実践的なトレーニングができます。
極端に遅いペースで長時間走るLSDは、ずいぶん前に何度か行ったことがありますが、効果がなかったため行っていません。

これ以外にもインターバル走やビルドアップ、変化走、タイムトライアル、坂道や峠走、ダートを走るクロカンやトレランなど、いろいろあるのですが、これらはトレーニングを飽きさせないために行う程度で、欠かさず行うポイント練習のメインメニューはペース走とロング走のみとなっています。
他のメニューは、定期的に行わないのであれば、効果が薄いのですよね。

例えば、クロカンやトレランなどを行えば、ふくらはぎや大腿四頭筋が筋肉痛となり、休養をして筋肉を超回復させることで、今までよりも強化できるのですが、再びクロカンやトレランを継続して行い、鍛えた部分を強化し続けておかないとダメで、これを行わずに放置すると劣化して元に戻るのですよね。
足や腕を骨折をしてギブスを巻き、数日後にそれを外すと、老人のような細く弱い腕や足になってしまい、元の状態に戻すには、長い日数をかけてリハビリをする必要があるのですが、それと同じで、鍛えた部分は、継続して鍛え続けないと、一気に衰えます。
トレランを行い、普段のトレーニングでは鍛えられない筋肉を鍛えたとしても、そのトレランが月に1度行くか行かないか程度のものであれば、強くなった筋肉は元の状態に戻ってしまい、トレーニングの効果も振り出しに戻ってしまいます。結局、普段から定期的に行っているペース走やロング走での筋肉が維持されるだけなんですよね。

月イチ程度の頻度でも、まったくしないよりはマシかもしれませんが、骨折の治療での、短期間での筋肉の驚異的な退化を思うと、短い周期で定期的に継続してトレーニングができないのであれば、走力強化が目的ではなく、気分転換が目的のトレーニングと受け取る程度がいいように思います。



マラソンを速く走るようになるには、自分がギリギリ耐えられるキツいペースと、それを長い時間続けられる身体能力のレベルを上げることが重要。

・ギリギリ耐えられるキツいペース=LT値(Lactate Threshold 乳酸性作業閾値)

・長い時間高負荷な運動を続けられる持久力=効率のいい有酸素性エネルギー代謝能力

これらの能力の向上を目指すことが必要で、マラソンペースよりもはるかに速いスピードで走る短・中距離走の走力や、遅くてもいいから超長距離を走るといった持久力は不要となります。
そのためのトレーニングということを念頭に置いてメニューを組むようにすることが、上達の近道かと思います。
そして、走る時間が限られている市民ランナーは、無駄のない効果的なトレーニングを行うことが必要で、マラニックやLSDなど、時間の割に効果の低いメニューは、中・上級レベルのランナーであれば、メニューから排除する方が得策。(マラソンの完走やサブ4を目指しているランナーさんの場合は、長時間運動を続ける能力を鍛えるためのLSDは効果的)

また、自分が苦手とする部分の対策が必要で、そのためには、自分のどの部分が劣っているのかを知ることが重要だと思います。
マラソンの場合は、スピードタイプとスタミナタイプの2つに分けられるのですが、年齢での影響も大きく、若い方はスピードタイプ、中年以上はスタミナタイプが多いようです。
30歳代以下のランナーさんは、インターバル走など、自分が得意とするスピードトレーニングを行う頻度が多く、1kmを3分10秒で走れた!といった点に喜びを感じ、ロング走などのスタミナメニューは敬遠しがち。
学生時代に陸上部だったランナーさんも、フルマラソンのためのトレーニング経験がないため、使い慣れたトラックでのスピードトレーニングを重視しているようで、5000mや10000mの成績に対して、フルの成績がかなり悪い。
レースで35km辺りで足が止まってしまった陸連登録ランナーに若い人が多いのも、スピード重視の偏ったトレーニングが原因ではないかと思います。

逆にオヤジランナーは、加齢とともに脚筋力や心肺機能が弱り、スピードメニューは大の苦手となってくるのですが、忍耐力や精神力は強いので、修行のようなロング走は得意になってきます。休日はスローペースのロング走をせっせと行うため、月間走行距離は自ずと長くなり、PB更新よりも、月間距離を目標にしてしまっているランナーさんが多い。
そのため、スピードトレーニングはますます敬遠し、苦手部分は一向に克服することができず、レースでは30km以降の壁は平気だったものの、全体のペースが上がらず平凡なタイムでゴールという方が多いようです。

仕事や学力の場合は、自分が得意とする能力を、更に磨いて専門的にした方がいいのですが、マラソンの場合は、得意な部分を更に磨くだけでは好結果は残らず、トレーニングでのエネルギーと時間は浪費するだけ。
そして、練習で速く走れたり、長く走れたりして満足しても、それは一時的なものに過ぎず、大会で満足な結果が残せなかったら、トレーニングのやり甲斐すら失ってしまいます。

マラソンの目的は人それぞれで、ストレス発散だったり、健康維持だったり、大会のお祭り的な楽しさを味わったりなど、いろんな楽しみ方がありますが、自己ベストを更新してレベルを上げたり、満足できる順位でゴールしたり、今までできなかったことをできるようにしたりなど、向上心を奮い立たせ、頑張った結果に自己満足をし喜ぶというのが、マラソンの最大の魅力だと思うのですね。その頑張った結果を形にできるのがマラソン大会で、年老いてレベルが落ち、過去の実績が思い出話となってしまっても、その戦績や実力は、完走証や賞状などで証明することができます。

その実力を向上させるには、無駄のない効率的なトレーニングがポイント。
多くの教本やウェブを参考にしながら、自分に適したメニューを選別し、しっかり取り組んで効果を確認し修正する。
そして、そのトレーニングが正解だったかどうかは、大会でタイムとなって正確に教えてくれます。
PB更新ができていれば、そのトレーニングは正解。今のトレーニング方法を軸にし、さらなる向上を目指して取り組めばいいし、一向にタイムが縮まないのであれば、今のトレーニングの大幅な改善が必要。
一旦頭をリセットし、トレーニングの基本からやり直してみる。月間距離にこだわったり、人と競うようなトレーニングなどせず、自分のレベルに応じた適切な負荷と、適切な休養を繰り返し、苦手部分を認識して補強する。
がむしゃらに頑張ったり、手抜きをしたりすることなく、焦らず力まず、地道にコツコツとトレーニングを繰り返していけば、ガッツポーズでゴールすることができ、その喜びは努力が大きければ大きいほど、末永く続きます。

また、マラソンを趣味として長期に渡って継続させていくのであれば、無理せずマイペースでトレーニングを続けられるレベルに抑えておかないといけません。一般的な市民ランナーであれば、月のトレーニング距離は300~350kmあたりがリミットでしょうか。この距離なら、サブ3レベルまでは行けると思います。(実際に自分がそうでした)
もちろん、もっと多くの距離を走ることは可能ですが、これよりも多くの距離を走りながら、レベルが向上していないのであれば、トレーニングに無駄が多い証拠であり、距離を減らして内容を改善すべき。
野口みずき選手の「走った距離は裏切らない」という言葉が有名ですが、それは内容次第であって、単純にトレーニングの距離が多ければいいというものではないのですよね。平日は朝晩ジョグの2部錬、休日はLSDを繰り返せば、走力は上がらないものの、走行距離は無駄に多く伸ばせてしまいます。

ラクしてレベルは上がりませんが、近道はあるようなので、書籍やランニング雑誌の上級ランナーの体験談やトレーニング内容を参考にしながら、自分流の上達法をみつけて実行し、その成果を大会で確認し、改善するというのが効果的のようです。そのためには、多くの大会に出るということも重要ですね。
今季は多くの大会にエントリーていて、現時点では10月~3月までに、フル3戦、ハーフ4戦、10km2戦。今のところ結果は好調で、トレーニングの成果が十分発揮できているようです。そのため、来季も今のトレーニングを継続していく予定です。