2014/11/22

理想のランニングフォーム

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他のランナーさんの走りを見ると、遅いランナーさんはへっぴり腰(お尻が後方へ突き出していない状態)で、体は前傾しておらず、足先が外に開いているため、後ろから見るとO脚が目立ち、バタバタといった大きな着地音で走る方が多いです。
逆に速いランナーさんは、胸をしっかり張り、胸から蹴り足までがきれいな前傾で、後方から見ると足の振り出しが真っ直ぐで鋭く、腕の振りはコンパクト。そして、タッタッタッタッと非常に静かな着地音で走ります。走り方を見ただけで、このランナーさんは初心者なのか上級者なのかが、素人目でもわかります。

速いランナーさんは走りに無駄がないので、楽に走っているように見えます。無駄がないというのは、前進のためだけに力を使っている状態。TV中継されているマラソン大会を見ると、エリートランナーのピッチは一般の市民ランナーとさほど変わりはないのに、ペースが異常に速い。つまり、ストライドがかなり大きく、キックがパワフルということになりますね。

走っている時に、速度を上げたり落としたりするには、脚力だけでなく、足の使い方も変わってきます。わかりやすいのは坂道。
下り坂を走る場合、スピードが付き過ぎてしまうので、身体をやや起こして、足を身体よりも前方に振り出して着地をし、足の関節の動きを筋肉で抵抗することで、速度を落とすことができます。
上り坂を上る場合は、路面に対して身体を前傾にし、身体の真下に着地をして、後方へ強く蹴り出して身体を前進させます。
下りと上りの大きな違いは着地点。身体の前方に着地をした場合は、速度を落とすときに役に立ちますが、前進のためにはほとんど使い物になりません。
身体の真下に着地した場合は、身体を前傾にして足を伸ばすだけで強く前進できるので、それを繰り返すことで速度が上がります。
立ち幅跳びの理屈と同じですね。

つまり、路面からの衝撃回避と、前進のために効率良くパワーを路面に伝達しようとする場合は、身体の真下に着地することがポイント。
また、真下に着地する場合は、足の構造上、足裏の拇指球からの接地になります。その場で立ってジャンプして身体の真下に着地すると、最初の接地箇所はかかとではなく拇指球から、足裏全体へ体重が乗ります。かかとからの着地はできなくもないですが、ドンッ!という激しい衝撃が身体に伝わってしまい、スムーズさが失われます。
走行中は前傾になるため、やや前寄りに着地するイメージ。足首がひざから前へ出ないように意識すると、うまく走れます。もちろん、つま先で走るわけではなく、最初の接地箇所が拇指球(やや外側)になるだけで、その直後は足裏全体に体重を乗せます。
その走法のわかりやすい動画がありました。



この走法は、着地の衝撃を緩和し、路面を後方へ蹴り出すためだけに動いているので、走りが非常に滑らかで軽快に見えますね。
私の走法も、これとほぼ同じ。そのため、シューズのアウトソールは、下の写真の箇所が減るため、シューグーで直しています。かかとはほとんど減りません。



ランニングを始めた当初は、身体の前方へ足を振り出して着地していたので、自ずとかかと着地になってしまい、シューズのかかとの外側が減っていました。しかし、スピードが上がるにつれ、この走法ではロスが大きく感じたのと、かかとへの着地衝撃が大きく、足(特にひざ)を痛めてしまうようになったので、この走法に切り替えました。どの程度衝撃が違うのかは、裸足でアスファルトを走ってみるとわかります。(裸足はテストとして走るだけとし、普段のランニングではシューズは必須)
筋力強化を含めて、この走法を完全にものにするのに半年以上かかりました。

拇指球からの着地は、拇指球周辺のたわみや、足首の動きも緩衝材として利用できるので、ひざを痛めることはなくなりました。ただ、ふくらはぎに負担がかかるので、ふくらはぎの張りや筋肉痛は頻繁に起こりました。しかし、筋肉痛なので、3日も経てば治ります。ひざを痛めて完治に1か月近くかかることを思えば断然有利です。
ただ、足底を痛める可能性があるので、ゴルフボールを足裏で踏んで、コロコロとマッサージしたり、タオルギャザーやカーフレイズなどで筋力を強化する必要があるかもしれません。

この走法に改良したことで、走行中にブレーキがかからないので、無駄なく走れるようになったのと、足の振りがコンパクトになり、骨盤から下が前傾しやすくなるので、スピードに乗りやすくなりました。レースでタイムが短縮できたのも、この走法が非常に理にかなっていたのと、故障が減った分、十分にトレーニングができたことが大きいのではないかと思っています。
エリートランナーさんでも、足を前へ振り出してかかとから着地をし、高記録をマークしている方も見えるので、必ずしもこの走法が正しいとは言えませんが、足の動きや力の向きを物理的に考えると、この走法は効率的。
フォアフットやフラットフットの方法論が話題になったときがありましたが、足裏のどこの部分で着地するのかよりも、着地点が身体の前なのか下なのかをクローズアップするべきですよね。それが決まれば、自動的に足裏の設置場所も決まります。

ある程度の走歴が過ぎてしまうと、走法の改良や改善は非常に難しくなるのですが、初~中級者の方で、誰がどう見てもそのフォームはおかしいという方が結構多いだけに、スマホやデジカメで自分が走っている姿をビデオに撮り、早めに修正した方がいいように思います。
また、レベルの高いランナーさんの走りを見ることも大切ですね。特に女性のエリートランナーさんは、男性に比べてパワーがない分、非常に無駄のないコンパクトな走りをするため、学ぶべき部分が多いです。