2015/02/24

川内優輝選手のトレーニング理論

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・月間走行距離は600キロ

勤務時間の関係で、1日1回しか練習できないので、600キロという距離は、ちょうど自分が壊れない限界として、現実的だと思っている。

・練習は1日1回

2部錬はやる必要はないと思っている。人間は1日1回やるからこそ、集中し、しっかり挑むことができるもの。これが1日2回頑張らなければならないとなると、体のケア、準備運動も2倍必要になる。それなら1日1回にして、ケアや、準備運動を1.5倍にしたほうがケガもしにくいし、合理的である。

・ポイント練習は週2回

水曜日はスピード練習の日とし、主にインターバル走を行う。例えば、1000mを3分~3分5秒で15本。その間の緩走は200mを60秒で走る。
土曜日は仲間たちとロング走。1キロを3分30秒ペースで30~40kmを走る。
追い込み練習はこの週2回のみ。メリハリをつけることで、心も折れることなく練習を継続できると思っている。

・ジョグ

週2回のポイント練習以外は、ジョグのみ。ペースはだいたい1キロ5分くらい。
何のためにジョグをするかというと、ポイント練習のため。つまり、試合のためにポイント練習があり、ポイント練習のためにジョグがある、という関係。
そのため、ジョグだけを頑張っても、ポイント練習が頑張れなければ、ジョグの意味はない。
ジョグは人と楽しく会話をしながら、あるいは一人で音楽を聴きながら自由にリラックスして走る。
「ジョグもしっかり集中し、どういう動きをしているのか考えながら走れ」と言われたことがあるが、それも限界がある。
抜くべき時は抜いて、メリハリをつけたほうがいい。やるときはやる、休むときは休む。集中力の切り替え、使い分けが大切。

・アップとダウン

アップは、ハーフでは20~30分走る。フルマラソンのときは、1キロ走って体操をし、3キロ走ってから流しを1~2本入れる。
ダウンはウォークかランを1~2キロ。その後、アイシングや交代浴をし、温泉や鍼治療で疲れをケアしている。
アップとダウンで大切なのは、「ケガをしないためにはどうすればいいか」という意識を持つことだと考えている。

・体のケア

2011年の東京マラソン後、月2回くらいの鍼治療や整体に行くようにした。
高校時代、ケガでかなり苦しみ、週4回治療に通ってもなかなか治らないことがあった。そこで学んだのは、治療を何回も受けるうちに、治療をやりすぎるのは逆にあまりよくないのではないか、ということだった。治療を何回か受けるうちに、耐性がつくのか何なのか、ケガが癖になってしまう。
しかし、本当に疲れたときに治療へ行くと、スッキリ回復するということもある。
その代わり、温泉には毎週必ず行っている。週末の厳しい練習が終わると温泉へ行き、温泉と水風呂の交代浴で、血流をよくしている。
普段はセルフマネージメントで回復し、いよいよ本番というとき、鍼などの治療の力を借りて、試合に挑んでいる。


・メンタルケア

モチベーションを上げるためには、メリハリをつけることが大切だと考えている。従って、休むときはしっかり休む。
レース直前は、好きな音楽を聴いてモチベーションを上げ、精神状態をコントロールしている。

自分に勝つためには、日々継続してトレーニングを積み、自信をつけること。
普段からメリハリをつけて集中してレースに臨めば、自分の100%に近い力を発揮することができるはず。
自分の前を走っている選手がケニア人でも実業団の選手でも「一人の選手」に変わりはないわけで、その人を抜きたい、その人に勝ちたいと思う「負けたくない」という気持ちが、最後は強さになる。

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川内選手のお母さんが書かれた本で、優輝選手の幼少の頃からの話が書かれているのですが、後半に次男と三男のインタビューがあり、そのあとに川内選手の講演会の言葉が掲載されています。そこに書かれていた文章の一部を抜粋、要約しました。2011年当時の内容です。すでに読まれている方は多いかと思うのですが、オススメ本です。