2015/06/10

GPSの誤差に注意

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速く走って、そのあとゆっくり走ることを繰り返すインターバル走というトレーニングメニューがあり、筋力の向上と、最大酸素摂取量を高める目的として効果的なトレーニングですが、自分の走力に見合った負荷を与えるには、どれくらいのペースで走ればいいのかは、様々な意見があるようです。

スプリント区間を800m、リカバリー区間を400mとするヤッソ800のインターバル走の場合、フルマラソンの目標が3時間30分の場合は、スプリントの800mを3分30秒、リカバリーの400mを3分30秒で。フルが3時間なら800mが3分、400mが3分というペースで走るそうです。

このヤッソのタイムで、800mを1000mとして換算した場合、フル3時間半は4分23秒、フル3時間は3分45秒となりますが、5000mの自己ベストから計算式を用いて求めた設定ペースが、こちらの本に表にして紹介されていました。

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5000mの自己ベストを基準にしていますが、マラソンタイムからも参照することができます。
インターバルの種類は、400m×12本、800m×6本、1000m×5本、1200m×4本の4種で、それぞれのスプリント区間の設定タイムが算出されています。
本では5000mのタイムを30秒刻みで13分~31分まで書かれているのですが、一部を抜き出して表を作りなおすとこうなります。
この数値は目標タイムではなく、現在の自己ベストから参照します。



現在フルのタイムが3時間のランナーは、1000mを5本のインターバル走の場合、1000m区間を3分39秒で走ると、レベルに見合った適切な強度になるそうです。かなり頑張らないと、このタイムで5本を揃えるのは難しいかと思います。
私の場合だとフルが2時間52分後半なので、1kmが3分32秒あたりになるのですが、以前走ったタイムは、

3'31
3'38
3'33
3'37
3'37

平均3'35

故障でパフォーマンスダウンからの復帰中なのでが、現在はフルを2時間56分程度で走れる走力まで回復したということになります。もちろんロング走などで筋持久力を鍛える必要がありますが、インターバルでのタイムは結構説得力があるようです。

上記の表でわかるように、インターバルは1kmのタイムがわずか数秒の違いでも、フルのタイムは大きく変わってしまうので、トラックや距離表示のあるコースで正確に計測する必要があります。
GPSウォッチでも1km地点を知らせてくれるし、インターバル用のアラーム設定をすることも可能ですが、GPSでの1kmはかなり曖昧なので注意が必要。
特に、周回コースでの誤差は大きいようで、400mトラックで1000m(2周半)のライン上を通過した地点で手動でラップを計った結果はこうなりました。



GPSウォッチ(EPSON SF-310)では、1000mで50mほどの誤差。リカバリーの区間はコーナーが1つで速度も遅いため正確に200mを表示していますが、1000mではすべて実際に距離よりも多めに表示されます。
つまり、トラックと似たような周回コースを走った場合、GPSウォッチが1kmを知らせた地点は実際は950m程度なんですね。



今回は1km地点で手動で押して計測しましたが、GPSウォッチで自動計測した場合に表示される1kmのラップタイムというのは、上の表の各ラップの平均ペースと同じになるわけです。5本を平均すると3分21秒。本来の正確な1kmのラップタイムの平均よりもキロ14秒も速い。
1000mで14秒速くなると、インターバルのペース表を参照すると、フルが3時間ランナーの場合、2時間48分レベルまで上がってしまうことになり、実力とは大幅に違うタイムになってしまいます。今回の私の場合だと、2時間45分を切れるほどの走力となってしまいます。こんなに速ければ、私の年齢での全日本マラソンランキングでベスト20に入れてしまいます。

GPS時計の数値を信じてしまうと、実力を超える速さのタイムが出るため、上達したと勘違いしてしまうのですね。
私が使っているEPSONに限った現象ではないかと思うのですが、直線や一般道はさほど誤差は出ないのですが、トラックや公園など何度も周回するようなコースの場合は、かなりの誤差が生じるようです。

以前、名古屋の庄内緑地公園の周回コースで行われたハーフのレースで計測したところ、なんと1.5kmも狂いました。実際の距離よりも、時計の数値は1.5km少なく表示されました。EPSONの距離を信じて走っていた私は、余分に1周周回してしまうミスを犯すこととなり、メダルを逃してしまいました。
EPSONに問い合わせて本体交換となったのですが、誤差の症状は以前のままで、故障ではなくこれが仕様なのか、ソフトに問題があるのかのどちらかのようで、再度EPSONに問い合わせ中。調査検証中で返事待ちの状態となっています。
周回コースで誤差が出た場合、NeoRunと自動同期できるStravaとの数値が大幅に違っており、Stravaは正確でEPSONは距離もラップもムチャクチャ。そのデータもEPSONに送って検証してもらっています。もしかすると、近々ファームウェアのアップデートが行われるかもしれません。EPSONから返答があれば後日報告したいと思っています。

ということで、タイムトライアルやインターバル、ペース走など、距離とタイムを正確に知る必要があるトレーニングの場合は、競技場のトラックや正確な距離が表示されているコースを利用し、ラップは手動でコースの1km毎に押したほうが確実です。
また、自分がいつも利用しているコースで距離表示がない場合は、本当にGPS通りの距離なのかを確認しておくことも大切かと思います。
距離の計測は自転車にサイクルコンピュータを付けて測ると正確に測れますが、こういった商品もあるようです。


GPSでもウォーキングしながらゆっくり計測すると、測位点が増えるためか、正確性が増すようです。
そして、こういった誤差に騙されないためにも、トレーニングコースは複数持った方がいいです。同じ時計で同じコースを走ってばかりだと、比較できないので気付きにくいのですよね。
私は、2kmの周回コースの公園を多用しているのですが、樹林の影響なのかかなりGPSに誤差(10kmで20~30m)<b>※訂正 10kmで200~300mの誤り。</b>
が生じるものの、ここは100m毎に距離表示があるため、誤差を見越したタイムで走るようにしています。
他に1周3.5kmの公園もあり、ここは直線がかなり長いオーバルコースなのでGPSの誤差は少なく、500m毎に距離表示もあるので、ほぼ時計通りのペースで走ればOK。
ジョグの場合は堤防を利用していますが、ここはGPSがかなり正確で、時計でもスマホのGPSでも自転車のサイコンでも、ズレはほとんどありません。
堤防には、自転車で正確に測った1kmの直線コースも作ってあります。この直線をGPSで測っても正確に1kmと表示されるものの、リカバリー部分は折り返しコースのため、GPSはこの折り返しで誤差が出てしまうようです。そのため、ここでのインターバルはリカバリー区間の距離を無視して心拍数の下がり具合を目安にし、スプリントの1km区間を手動で押して計測しています。

GPSの誤差は、ナビ使用の場合は、その一点の箇所だけの誤差なのでほとんど影響はないのですが、マラソントレーニングの場合は、誤差がどんどん加算されるため、より一層ズレが大きくなります。距離やペースが大幅に違ってしまうと、トレーニングに支障をきたすので、正確なペースやタイムを知る必要があるポイント練習の場合は、陸上競技場のトラックの利用をオススメします。
マラソン初心者のランナーさんだと、トラックは敷居が高く感じますが、我々の税金で作った施設なんだから使わなきゃ損。トラック用のスパイクシューズも必要なし。私は未だに持っていません(^_^;)
それに、地方の場合は意外と空いているし、使用料も250円程度と安いです。



トラックでは、次元の違う速さのエリートランナーさんもいますが、最初から最後まで外側のコースを使ってジョグで終わるランナーさんもいるし、インフィールドの芝を利用してリハビリジョグをしているランナーさんもみえます。サッカーの自主トレ目的でウィンドスプリントをされている方もいます。スタートの練習をひたすら繰り返す短距離ランナーさんもいます。
皆さんそれぞれ自分の目的に応じて黙々とトレーニングをしており、その様子を観察するだけでも楽しいし、その中で一緒に走っているとモチベーションが上がります。
利用されていない方は是非、競技場に足を運んでみてください。
そして、距離の正確なトラックで、自分の実力を正確に計測してみてください。タイムがわかれば、正しい強度でトレーニングをすることができるので、上達が早いと思います。

また、いつものコースのGPSの誤差のチェックもしてみてください。1周でわずか数メートルの誤差でも、10周、20周と回ればかなりの誤差になり、タイムやペースに大きな影響を受けてしまいます。実際の1kmのかなり手前で時計が1kmになってしまうコースでトレーニングをすれば、トレーニングでは十分な速さで走れるようになったのに、レースでは結果が出ないということになってしまいます。このトラブルは結構つらいだけに、是非ご確認を。