マラソントレーニングに関する本はたくさん出版されていて、最近の本は大体チェックしたのですが、ほとんどの本はマラソン完走やサブ4狙いの初心者と、3時間30分狙いの中級者までのものが多く、サブ3を目指した本は非常に少ないようで、書かれていてもおまけ程度。
中級者レベルのトレーニング内容に、距離とスピードを加算すれば、上級レベルのトレーニングメニューにできなくもないですが、やはり、それなりのメニューの組み方が必要なわけで、専属コーチがいない一般の市民ランナーは、自分のレベルに見合った内容の本を参考にしたいです。
今まで読んだ中で良かった本は、
外人さんの執筆ですが、翻訳がいいため読みやすく、内容も濃いです。今は中古本しか手に入らないようですが、図書館で探してみるとあるかもしれません。私は他館にある本を最寄りの図書館まで取り寄せてもらって読みました。
必要なページはiPhoneでスキャンして保存してあり、たまに読み返しています。
トレーニングメニューをレベル別で解説した見やすい本は、この3冊。
新書でオススメなのは、小出監督の2冊。
30キロ過ぎで…の方は、トレーニングメニューが結構ハードで、サブ3の場合は、20~30kmをキロ4分~4分5秒で走ることを目指したメニューとなっています。
他にもたくさんの本が出ているのですが、ありきたりの内容に終始するだけのものや、内容が薄すぎるもの、著者の実績や経験不足から、これはあかんやろと思わせるものもあり、ランナーズやクリールなどのランニング雑誌を参考にした方がいい場合が多かったりします。
また、サブ3やそれ以上のレベル向けの本となるとほとんどない。
サブ3は市民ランナーの約4%と言われているので、それ用の本を出版したところでほとんど売れないから、出版されないのは当然なのですが、いろいろ本を漁ってみたところ、いい本を見つけました。
1989年出版の古い本で、今は廃刊となっており、私は図書館の書庫から出してもらって借りたのですが、非常に内容が素晴らしく、今まで読んだ本で一番でした。
初心者よりも、サブ3からエリートランナーを対象にしており、女子の場合もサブ3以上のレベルになっています。もちろん、初・中級者のランナーが読んでも参考になる部分はありますが、トレーニングメニューにはスピード強化の部分が多く紹介されていたり、実業団などのエリートランナーの実際のメニューがなども紹介されているので、上級者が読んだ方が参考になる部分は多いと思います。
目次は章立てており、
第1章 マラソンの魅力
1,大衆マラソンの生い立ち ジョギングからマラソンへ
2,走る続ける魅力
3,マラソンを創った人たち
第2章 マラソントレーニングの原理
1,マラソントレーニングとは
2,マラソンの記録を決定するものは何か
3,マラソントレーニングの原理・原則
第3章-1
1,年間計画作成上の問題点
2,マラソントレーニングのプランニング
第3章-2
1,4時間台を目指すには
2,3時間台を目指すには
3,サブ・スリーを目指すには
4,2時間30分台を目指すには
5,トップを目指すには
第3章-3 女子ランナーのトレーニング
1,年間計画
2,マラソンシーズン中の長期と週間のトレーニングの具体例
3,女性ランナーのトレーニングにおける留意点
第4章 トレーニング方法
1,トレーニングの種類とその特性
2,スピードとスタミナのトレーニング
3,スタミナのトレーニング
4,その他のトレーニング
5,マラソントレーニングのスケジュール作成の基本原理
第5章 マラソン大会の申し込みからスタートまで
1,マラソン大会の選び方
2,大会当日までの準備
3,大会当日ー起床からスタートまで
第6章 スタートからゴールまで
(以下小項目省略)
第7章 レース後の処置
第8章 マラソンランナーに起こりやすい故障の予防と処置
第9章 マラソンのための栄養学
第10章 マラソンの記録のおもしろゼミナール(←これ結構いい)
となっています。
例えば、TVでお馴染みとなった金哲彦さんが、ランナーとしてバリバリだった頃の走り込み期のメニューも書いてあり、1ヵ月分をピックアップすると、
11月8日 30km走
9日 1600m×1
10日 40km走
11日 20km走
12日 15km走
13日 40km走
14日 5000m×3
15日 25km走
16日 15~25kmLSD
17日 スピードプレイ
18日 20km走
19日 16kmビルドアップ+1.3km×1
20日 15km走
21日 15km走
22日 8km走+1000m×1
23日 郡山30km 1時間32分23秒
24日 ジョグ
25日 ジョグ
26日 ジョグ
27日 50kmLSD
28日 スピードプレイ
29日 15~25kmLSD
30日 40km走
翌年2月の別大マラソンで2時間12分35秒(3位)
という内容。他の選手のメニューもいくつか書かれており、レベルが高すぎて参考にならないのですが、女子の場合だとサブ3レベルなら何とか採用できそうなメニューもありました。
深尾真美選手(大阪体育大学時代)のレース3週間前のトレーニング内容
休み
休み
200m(35~38秒)×20(100mジョグ)
60分ジョグ
1000m(3'25")×8(200mジョグ)
20km(5kmのペース19'ー18'37ー18'25ー18'14)
90分ジョグ
休み
15km(5kmのペース18'11ー18'56ー17'28)
2000m×3(400mジョグ)6'43~47
80分ジョグ
400m(75"~78"、200mジョグ)×3+1000m(3'20、200mジョグ)×3+400m(75"~78"、200mジョグ)×2
休み
5000mレース(16分16秒)
のちのレースで自己ベスト2時間48分16秒。
この本、読む箇所が多く、専門的な内容なのにわかりやすい解説で、全327ページ。
県内の図書館の書庫に蔵書されていたものを、最寄りの図書館まで取り寄せてもらったのですが、再び借りて何度も読みたいのもあり、中古本が1円であったのですかさず注文しました。
これを執筆現在も、1円(送料別)の中古本がAmazonで売られているようです。
最近の本は、初心者向けや、説明が簡素でわかりやすい(悪く言うと大雑把)な内容のものが多いだけに、この教科書的な本は、余計に良く感じました。
古い本なので、カーボローディングを炭水化物負荷法と書いてあったりするのですが、このカーボローディング、最近はあまり有効でない意見が出ていますね。この本も、メリットとデメリットが書かれており、完全に勧められない説明がなされていました。
1989年初版となっているので、すでに25年も経っている本ですが、マラソントレーニング自体は、今も当時もさほど変わってはいないため、とても参考になりました。
本格的にマラソンに取り組んでみようという方や、サブ3以上のレベルを目指しているランナーにオススメの古本です。
何度も何度も読み返して学んだり、トレーニングに取り入れてみたり、モチベーションを上げたりと、しっかり活用したいため、必要なページはiPhoneでスキャンしNotabilityへ読み込んで、iPhoneやiPadでマーキングやコメントを入れて、しっかりインプットしようと思っています。