2014/03/29

ランニングでのハートレートモニター(心拍計)の活用法

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ランニングを始めたばかりの頃は、キロ7分程度で3kmを走るだけでも、結構つらかったりするのですが、何度もランニングを繰り返しているうちに徐々に楽になり、キロ6分ペースで10kmを走るくらいなら、難なくこなせるようになってきます。
この、つらいか楽かの度合いを言葉で表現するのは難しく、「結構キツイ」「むちゃくちゃキツイ」「死にそうなレベル」といった感じの表現しかできないし、人と比較した場合となれば、同じペースでも走力レベルが違うと、そのキツさの度合いは全然変わってしまいます。
キツさを10点満点で評価をしたとしても、5点なのか6点なのかの判断は微妙。
その苦しさの度合を、感覚的な表現や曖昧な得点ではなく、正確な数値に表すことができる方法が一つだけあります。
それが、ランニング時の心拍数。

アスリートの選手が「今日はキロ3分30秒のペースで10km走を行いました」と言っても、それがこの選手にとってどれほどキツイのかがわからないし、自分も同じ負荷でトレーニングをしようと思っても、どの程度のペースで走ればいいのかがわかりません。
しかし、「今日はキロ3分30秒ペース、平均心拍数150bpmで10km走を行いました」と言ってくれたのなら、自分が150bpmで10kmを走った過去のデータから探してみることで、その負荷の度合いがわかります。
私の場合、過去のランニングデータを振り返ると、10kmのランニングでは、平均心拍数が152bpmでキロ4分14秒ペースがあるので、自分の実力に置き換えれば、「サブ3のレースペース走での10kmなんだ。今の自分ならこなせるトレーニングレベルだったのか」ということがわかり、「早速今日、同等の負荷で走ってみよう」と実行することができます。

私はRunmeterを使って、ランニングの走行データを自動的にツイートしているのですが、例えば数日前に、11kmの距離を1時間(キロ5分27秒ペース)でジョギングしたことがありました。4時間走の大会で傷んだ足の、回復目的のジョグだったのですが、ランニングを始めたばかりの初心者の方が、このペースでこの距離を走るのは結構大変で、真似して走ったところで「どこが回復目的やねん。きっついやんか」と思うのですが、この時の私の平均心拍数は123bpm。初心者の方がこの心拍数で走れば、キロ6分30秒~7分程度になるかもしれません。このペースなら「あー、めっちゃ楽。これなら回復目的というのも納得」と感じることかと思います。
走力の違う他のランナーの負荷を自分で再現したり、苦しさの度合いがどの程度のものかを判断したりするには、心拍数を利用するしか方法はないのですよね。

これは他人との比較だけでなく、過去の自分とのレベルの比較にも使えるため、自分の走力が過去に比べてどれほど上がったのかが、数値でハッキリわかります。
もちろん、レースやタイムトライアルでの自己ベストのタイムでも上達の度合いはわかりますが、心拍数の場合は、最速の上限負荷だけでなく、ペース走やロング走などの中間負荷や、ジョグなどの低負荷の数値も正確にわかるので、普段のトレーニングの負荷調整ができるようになり、トレーニングレベルの底上げができるようになります。

「今まで5分ペース10kmを走ると、平均心拍数は140bpmになっていたけど、今は135bpm程度で走れるようになったから、これからは4分45秒ペースで走ることにしよう。そうすれば、当時と同じ負荷をかけてトレーニングができるので、以前と同じように走力レベルが上げられるぞ!」といった感じで、自分のレベルの進捗状況に則したメニュー更新ができるようになるわけです。
これを行わずに淡々と同じペースで走っていては、レベルアップは頭打ちしてしまい、いつまで経っても平行線。心拍チェックをしないとなると、自分のレベルの上達度の把握はタイムトライアルを行うしかなく、それに応じたトレーニングのレベルアップも、具体的にどの程度上げればいいのかがハッキリわかりません。

短距離走や、跳躍、投てき、野球やサッカーなど、いろんな運動競技がありますが、どれも競技中は心拍数が一定しないため、心拍計を利用する必要性がないのですが、マラソンや自転車などの有酸素運動では心拍計は重要で、これを目安にトレーニングをすることで、効果的にレベルを引き上げることができるようになります。
マラソン用のGPSウォッチや、iPhoneやスマホのランニングアプリは、ハートレートモニターに対応しているものが多く、私が使っているiPhoneのRunmeterも、BT接続のハートレートモニター(iPhone 4S以降の機種)に対応しています。



心拍数の記録を、iPhoneのRunmeterで活用するには、ポイント練習でもつなぎのジョグでも、必ず心拍計を装着すること。私はハートレートモニターを使用してから1年以上経過したのですが、蓄積されたデータが溜まったおかげで、ようやくそのデータを活かすことができるようになりました。
Runmeterでデータをわかりやすく扱うには、まず「ルート」の項目を、走る距離別に設定しておくと便利です。



距離別にすることで、Runmeterの「その他」の「ルート」から、距離別での履歴データを抽出することができます。
例えば15kmをタップし、



「履歴」をタップすると、こんな表示に。



右上の「へ」のアイコンをタップし、「エクスポート」をタップ。
「Eメール」をタップし、「CSV添付ファイル」として自分宛てにメール送信。





iPhone内の他のアプリへ渡すこともできます。OneDrive (旧 SkyDrive)なら表示できます。





添付送信したcsvファイルは、PCのエクセルやLibreOffice、Kuto Csv Editorなどのアプリで開くと、表になって表示されます。
(Officeの場合は、文字エンコーディングをUnicode(UTF-8)にすると文字化けしません)
表の不要な列を削除すれば、ペースと心拍数の関係が把握しやすいし、心拍数を基準に並べ替えをすれば見やすいです。



また、Runmeterは「エリート」というアドオンを購入することで、履歴をグラフ化することができます。ルートの画面にある「ダッシュボード」をタップすると、グラフ表示されます。



グラフは拡大することができず、横表示のランドスケープにも対応していないので、やや見づらいのですが、棒グラフをタップすると、そのときのデータが表示されます。



同じ距離の過去のデータと今のデータを比較することで、上達の度合いがわかるので、トレーニングのペースタイムを現状の走力に応じて上げることができます。
年齢が増すと、最大心拍数の限界値は下がっていくので、若い頃と同じ感覚で挑むわけにはいかないのですが、1~2年前の自分がライバルであれば、十分太刀打ちできることかと思います。特に、走行時の心拍数が高いハーフ以下の距離は、加齢とともに苦手になってくるため、心拍をガンガンに上げて、もがき苦しんで走るポイント練習は、中年世代には無謀で上達しにくいトレーニングとなってしまいます。限界値が下がりつつある心肺機能の強化よりも、走法の効率化と、脚力と持久力を強化した方が無理なくレベルを上げられます。低めの心拍数で、いかに速く楽に走れるようにするかが、トレーニングの最大のポイントになります。
こういったことが実践できるのも、ハートレートモニターを利用した心拍トレーニングのおかげです。

過去のデータを利用する方法だけでなく、目標心拍数を算出し、その心拍数を目標にトレーニングをする基本的な使い方もできます。
計算式はこちらのページが参考になります。

» 運動強度の決め方| トライアスロン解体新書



計算式は、
((207-年齢×0.7)-安静時心拍数)×運動強度(%)+安静時心拍数

安静時の心拍数が40bpmの47歳の私が、70%の運動強度をするのであれば、

((207-47×0.7)-40)×0.7+40=133.8

心拍数134bpmでのランニングを行うと運動強度は70%になるとのこと。私の場合、15kmのランニングだと、キロ4分45秒ペースで走るとこの心拍数になります。
フルマラソンのレースで自己ベストを出した時の平均心拍数は153bpm。この時の運動強度を逆算すると約84.5%。
上記のリンク先に運動強度の表があるのですが、フルマラソンの運動強度は75~85%となっているので、限界ギリギリの負荷で走り切ったことになります。

安静時の心拍数の計測は、このアプリを利用しています。runtasticのアプリよりも認識度が高く、エラーなくスムーズに計測できるようです。