2015/11/16

ランナーズチップの罠

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多くのマラソン大会では、ランナーズチップがタイム計測に使われています。
スタートとゴール地点だけでなく、公認の大会などでは一定の距離ごとにセンサーが道路に設置され、ランナーが身につけたICチップ内蔵のタグが、このセンサーを通過するとタイムが記録されるという仕組みとなっており、このデータがサーバーを介して完走証発行の各パソコンでチェックできるようになり、選手のゼッケン番号と照らしあわせて記録が検索され、完走証を即座にプリントアウトできる仕組みとなっているようです。
そのため、大人数でのマラソン大会でも、簡単かつ正確にタイムを計測することができるわけですね。

身に付けるタグは、返却しないとそのタグ代を支払わなければなりませんが、持ち帰ることもできる大会もあるようで、そのタグを分解するとこうなっているそうです。

ランナーズチップを切り開いて中を見てみた | Techforlearning's Blog


何でこんなもので記録できるんだろう?と感じていたのですが、ちゃんとICチップと基盤が内蔵されており、電子機器だということがわかります。
このタグはスタート前には必ず身につけておかないと、計測不能となって記録が残せなくなり、ゴールをしても完走扱いにならなくなってしまいます。
取り付ける場所は、シューズの靴紐にビニタイで取り付ける場合と、ゼッケンに貼られている場合があります。
実はここが非常に重要。

スタートからゴールまでのタイム計測は、足に付けていても胸に付けていても正確に記録できますが、厳密には、スタートの号砲が鳴ってから、胴体部分がゴールラインを通過するまでのタイムとなっています。日本陸連の陸上競技ルールでも、
"競技者の順位は、その胴体(即ちトルソーのことで、頭、首、腕、脚、手または足とは区別される)のいずれかの部分が前項のフィニッシュラインのスタートラインに近い端の垂直面に到達したことで決める。"
とあり、ゴールでは胴体部分が計測の要となります。そのため、ランナーズタグは、足でなくゼッケン部分につけるほうがルール上正しいのですね。

「別に足でも胴体でもほとんど差はないじゃん。マラソンは100分の1秒を争う競技じゃないんだし。」

と普通は思いますよね。しかし、チップの取り付け場所の違いで、順位が変わるという経験をすることができました。その決定的瞬間の写真がこちら。



手前が私なんですが、胴体はほぼ同着。写真判定レベルの僅差なのですが、足元をよく見てください。



バトルとなったランナーさんよりも私の足の方が前にあるものの、私がタグを取り付けていたのは後ろ足。シューズのピンク色のものがタグです。
リザルトをチェックしたところ、タイムは同着でしたが、順位は私の方が下位に。
もし、右足にタグを付けていたのなら、順位は逆転していたと思われます。
入賞を狙える順位ではなかったので、1位下がってもまったく問題はなく、年代も私の方が上だったので、上位に入れた年代別順位では影響を受けなかったのですが、この差で入賞を逃したとなれば、かなりのショックを受けそうです。

例えば16位と17位とか、22位と23位とかなら何とも思いませんが、8位入賞と9位入賞外、3位表彰台と4位、優勝と2位といった着順差となれば、全然話が違いますよね。
数値的なものだけでなく、表彰されるかされないか、副賞をもらえるかもらえないか、上位記録者として名前を書いてもらえるかもらえないかといった差もあるので、下位となった方は大いに悔やまれます。
タグを胸のゼッケンに取り付けるのであれば、ルール通りで問題はないのですが、足となればこういった問題が出てくるのですね。


というわけで、今回私の方が下位になったものの、このランナーさんのおかげで、フルマラソンのゴールとは思えない短距離走のような過激なバトルをしてゴールをすることができました。
こんなに激しいラストスパートは今までに経験がなく、勝っても負けても非常に爽快で、ゴール後お互いが苦しくてよろけてぶっ倒れそうな状態でしたが、フラフラになりながらも思わず笑顔で握手を交わしました。本当に気持ちよかったです。
このランナーさんにブログを介して、「あのゴールはおもいっきり楽しかったです。ありがとうございました!」とお礼を述べておきます。

たかがランナーズタグ、されどランナーズタグというお話でした。