2015/12/27

マラソンは3つのステップで3時間を切れる

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マラソンは3つのステップで3時間を切れる! 運動経験のない50歳のおじさんがたった半年で2時間59分 (SB新書)

この本を読んでみました。その読書メモです。

市民ランナーは短い距離のスピード練習より長い距離を踏む練習を好む傾向にあります。とくに1時間半から3時間くらいかけてゆっくりと長い距離を踏むLSDを実践する人が多いようです。
筋持久力はLSDである程度まではアップしていきますが、スピード持久力を高める効果はほとんどありません。
そのため毎月かなり走りこんでいる割には、レースの記録が伸び悩むという残念な結果を招いてしまうことがあるのです。


脚筋力がまだ十二分に発達していない市民ランナーが、舗装路でばかり走っていても、有酸素能力に見合った脚筋力を手にすることは難しく、トータルで見ると走力アップにつながっていないケースが多く見受けられます。
さらに舗装路は路面が硬いので、着地衝撃による疲労が足に蓄積して故障のリスクが高まってしまいます。また舗装路での練習は、着地衝撃にどこまで耐えられるかという脚筋力のコンディション次第で、どこまで追い込めるかが左右されるという側面もあります。


ペースを上げるほど着地衝撃は大きくなりますが、不整地でならペースを上げて追い込んだ練習ができるので、脚筋力と有酸素能力を効率的に高められます。
私が一緒にトレーニングしているプロランナーの藤原新選手も、不整地での練習を盛んにこなしています。心拍数を測りながら練習しているのですが、布施市ではかなり追い込んだ心拍領域で質の高いトレーニングができていることがわかります。


走り込み期の練習プログラム ※サブ3の場合

月曜日 完全休養 or ジョグ 5分30秒~6分30秒
火曜日 インターバル走 1000m→800m→600m→400m→200m 4分→3分→2分6秒→1分22秒→40秒
水曜日 ジョグ60分
木曜日 ジョグ60分
金曜日 ジョグ40分
土曜日 クロスカントリー走75分 4分30秒
日曜日 ロング走 4分40秒/kmで25~30㎞


たとえば、何回目かのフルマラソンで3時間5分という記録が出て、「次はサブ3だ!」と勢い込んだのに、そのあとのレースでは3時間15分、3時間20分と記録が一定せず、波が大きい…。そんなランナーは少なくありません。
それゆえに市民ランナーの世界では、「セカンドベストが真の自己ベスト」という格言があるくらいです。


最近になって風呂の温熱に新たな疲労回復作用が発見されました。
ぬるめのお湯に20分ほどじっくり半身浴をして体温を38度以上に上げてやると、体内で「ヒート・ショック・プロテイン(HSP)」という特別なタンパク質がつくられるようになるのです。
このHSPは疲労で損傷した組織をリカバリーしてくれる働きがあります。そのパワーがピークに達するのは、入浴から2日後とされていますから、ポイント練習のスケジュールに合わせて半身浴を実践するのもいいでしょう。


練習後のゴールデンタイムにおすすめする食品は、ズバリ「飲むヨーグルト」。


スペシャル対談 藤原新×白石健一(藤原選手の発言のみピックアップ)

ロードだけだと単調で退屈だから、たまにトレイルを走るのは気分転換になる。脚にそれなりに負荷がかかるので、練習にもなります。ただしトレイルばかり走っていると、トルク中心のパワー型の走りになるので、トラックやロードでレースを演る人にとっては、やればやるほどいいというものではないと思う。

マラソンの1ヵ月前だとすると、月曜に1000m×15本をキロ3分から2分50秒くらいでやり、火・水曜は休み、木曜にクロスカントリーを16㎞、金曜はジョグでつないで土曜に3㎞×5本か6㎞×3本を速いペースで押していく練習をします。

朝練は60分間キロ4分で快調にジョグをしたり、その後きつい練習が入っているときは30分間キロ4分半のスロージョグで終えたりします。

きれいなフォームで走っているときは基本的にキツくない。キツくないというよりは「キツいけど、だからなに?」という感じです。

3大栄養素のタンパク質、脂質、糖質のなかでも、特にタンパク質を意識しています。
タンパク質だけは切らさないようにしている。肉でも魚でもいいけれど、卵が手っ取り早いかな。

スペシャルドリンクは5㎞ごとに用意しています。アミノ酸ですが、詳しい内容は企業秘密。それに僕は走りながら糖質を摂るのはおすすめしない。脂質を代謝させるべきなのに、糖質を摂ると糖代謝中心になっちゃうからです。糖代謝については、摂取した糖質でなく貯蔵している筋グリコーゲンや肝グリコーゲンでなるべくカバーするべき。そこに糖質を追加摂取すると糖代謝中心のエネルギー回路になって結果的に枯渇を早めるという意見があり、僕もそう思います。


おわりにより
本書で紹介したような練習に対するアプローチを変えていくことによって、停滞状況に風穴を開けられることになります。
マラソンは、スタートからゴールまでセルフマネージメントしながら走る大人のゲーム
このことを肝に銘じて、マラソンの魅力を一層味わいながら楽しんで続けてください。
白石健一

本書の一部を抜き出してみました。
Amazonのレビューには薄っぺらいとか既出の情報とか書いてありますが、マラソンのトレーニング方法はほとんど出尽くしており、今更斬新なものなどありません。多くのトレーニング方法の中で、どれが効果的か、どれが効率的か。それをふるいにかけてくれる役目が、マラソン経験者が書かれた本であり、こいうった本を読むことで、自分のトレーニングを振り返ったり、取り組む方法を変えてみたり、モチベーションを上げることができます。
そのため、私の場合はこの本は5つ星です。
藤原新選手との対談も良かったです。

藤原選手は東京マラソンでゲブレシラシエ選手を抜いて2位(日本人1位)となり、日本代表としてロンドンオリンピックに出たものの、失速し日本人最下位に。その後も故障が続きスランプ状態に陥りました。
しかし、ようやく脱出できたようで、2015年は北海道マラソン、富山マラソン、防府マラソンでそれぞれ優勝。
その練習パートナーであったのが、この本の著者の白石健一氏。
藤原選手のブログの写真でも登場しています。Carmel 9の写真。

PHOTO | 藤原新オフィシャルウェブサイト | ARATA FUJIWARA OFFICIAL WEB SITE
Carmel 9 ...


藤原選手も取り入れている不整地を走るクロスカントリー走。この走行写真もブログで何度も紹介されています。
脚の故障の原因は着地衝撃によるものなので、硬い舗装路を走るとその確率は高まります。通常のトレーニングも、この衝撃から脚を守る走りになるため、おもいっきり追い込んだトレーニングを頻繁にこなすことができません。
しかし芝や砂地などの不整地ならガンガン走れるし、アスファルトよりも進みにくい分、負荷を高めることができます。
トレーニングではペースタイムを意識しがちなため、タイムが出やすい舗装路やトラックで走ってしまいますが、トレーニングの本来の目的は、速いタイムで走って自己満足することではなく、走力をアップすることが目的。
タイムでなく心拍数をチェックしながら不整地を走るトレーニングは、走力アップに効果的かつ故障予防にもなりそうなので、早速取り入れたいと思いました。

また、距離を徐々に短くし、速さの維持を意識したインターバル走も試してみようかと思います。
タンパク質の卵も、安価で簡単に増量できるので、すぐに実践できますね。飲むヨーグルトも良さそう。牛乳にヨーグルトを混ぜれば飲むヨーグルトになりますね。

本にはマラソントレーニングに関する方法論が、他にもいろいろと紹介されています。もちろん、既出の情報かもしれませんが、この著者は何をすすめているかをチェックするといいかと思います。
藤原選手の対談も、復活した今となっては特に有益かもしれません。


マラソンは3つのステップで3時間を切れる! 運動経験のない50歳のおじさんがたった半年で2時間59分 (SB新書)