ジェルやドリンクなどはどれもかなり甘いので、一時的に疲れや空腹が癒やされた気分になりますが、それはキャンディやチョコ、果物などを食べても似たような状態になります。
最近話題になっているBCAA。これに関しては、食品メーカーが非常にわかりやすい解説をしています。
BCAAとは | グリコ 健康科学研究所 | 研究&実験アーカイブ
「考えられています」という曖昧な言葉で終わってはいますが、これを読めば効果が高いと感じますね。
この食品メーカーが販売しているBCAA含有ジェルがこれ。
ワンセコンドBCAA <グレープフルーツ> | パワープロダクション | グリコ
ロイシン 856 mg たんぱく質 2.0 g ナトリウム 87 mg イソロイシン 572 mg 脂質 0.0 g バリン 572 mg クエン酸 780 mg ...
BCAAの成分量は、
バリン572mg、ロイシン856mg、イソロイシン572mg
BCAAはグリコだけでなく大塚製薬も頑張っていますが、例えばアミノバリュー4000の場合、
バリン200mg、ロイシン400mg、イソロイシン200mg
スティック状の顆粒タイプの場合、
バリン500mg、ロイシン1000mg、イソロイシン500mg
大正製薬のリポビタンにもアミノと書かれた製品が売っています。この場合、
バリン80mg、ロイシン240mg、イソロイシン100mg
量は少ないものの、分岐鎖アミノ酸はちゃんと含まれていますね。
ここで納豆の100g(約2パック)あたりの成分を見てみます。
納豆 - Wikipedia
納豆の100gの成分はグラム単位で書かれていますが、メーカーと同じようにミリグラムに変えてみますと、
バリン1018mg、ロイシン1509mg、イソロイシン931mg
納豆はこのBCAAだけでなく、あらゆる栄養素が含まれていることがウィキペディアのページでわかるのですが、この納豆と比べた場合、BCAAを誇張した商品にも関わらず、肝心のBCAAの成分がいかに乏しいかがわかりますね。
グリコはやや金額の高い製品も売っていて、
こちらの製品の場合は、
バリン1143mg、ロイシン1714mg、イソロイシン1143mg
ようやく納豆を上回りましたが、Amazon価格で1スティックあたり200円ほど。納豆200円分となれば、BCAAの量は大幅に増えるので、BCAAの成分量を価格比で考えればサプリは割高となります。
BCAAが含まれている食材をチェックしてみると、赤身の魚や鶏肉に多く含まれているようです。
【参考資料】食品の選び方|ぜん息などの情報館|大気環境・ぜん息などの情報館|独立行政法人環境再生保全機構
グリコのBCAAの説明によると、
トレーニング開始時に近いタイミングで摂取するほど、好ましいと思われます。さらに言えば、トレーニング中にも摂取することが推奨されています。
と書かれており、一般的な食材よりも、どこでもすぐに摂取できるサプリの形体が便利のように感じますが、朝食や昼食、夕食に、納豆や魚、鶏肉などのおかずを食べておけば、消化吸収が終えた頃にレースやトレーニングを行うため、その栄養素を有効に活用することができます。サプリの方が消化吸収は速いらしいのですが、通常の食事でも運動時には間に合うし、栄養素の成分量は圧倒的に多いし、価格は安いし、しかも美味しい。
トレーニング中にわざわざ摂取しなくても、すでに食事でその栄養素は蓄えられているし、サプリを運動中に摂取することでの内蔵負担の心配もないです。
BCAAだけをピックアップしましたが、納豆の場合ビタミンは少ないので、野菜の豊富な味噌汁や煮物と一緒に食べたり、食後に果物を食べれば完璧ですね。
TVやラジオ、雑誌広告など、多額の広告宣伝費を費やしても儲かるのが栄養補助食品。各メーカーはあらゆる手段を使ってサプリの効果をうたっていますが、成分を見ると大したことはなく、一般的な食材と比べれば非常に割高。
それに、成分の表示単位はミリグラム。1グラムの1000分の1。極々微量です。舐めても味すらわからない微量な栄養素。くしゃみをすれば飛んで行ってしまいそうなほどの量。
そして有効な成分は分量を数字で表示していますが、砂糖や甘味料、保存料のph調整剤、安息香酸ナトリウムなどの添加物の使用量は書かれていません。
アドベンチャーレースなど、食事もままならない状態で走り続ける過酷な競技の場合は、走行しながらでも食すことができる栄養剤は重宝するかもしれませんが、一般的なスポーツの場合は、通常の食事だけで十分間に合うはず。
ごくわずかな栄養素のサプリを追加するだけで左右されるほど、人間の体は敏感でもなければ、やわでもないと思います。
通常の食事で十分事足りるはずなのに、そこから無理矢理にでも商売につながる製品を作ってしまうメーカーの企業努力はすごいものがあるのですが、そもそもこういった栄養補助食品は、何らかの病気に罹り一部の栄養素が欠乏しているとか、通常の食事ができない人に有効なものであって、多彩で安価な食べ物をお腹いっぱい食べられる人には、無用の長物なんですよね。栄養剤は添加物を入れないと製品化できないことを思うと、通常の食事の方が断然安心です。
ただ、人間は太るほど十分な栄養を摂っていても、精神的に弱い部分があるので、メーカーの説明を鵜呑みにすればするほどプラセボ効果が高くなるサプリは、そういった気の弱い面をカバーしてくれるものと考えれば、安価で効果的な製品なのかもしれません。