2015/05/11

この時期のマラソントレーニング

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以前紹介したマラソントレーニングという本。

ランディノート: マラソントレーニング

1989年初版のこの本はすでに廃刊となっており、現在は古本しか手に入らず、ブログで紹介した直後に一気に売れたようで、定価(2000円)よりもはるかに高いボッタクリ価格を付けた業者しか売れ残っていなかったのですが、執筆現在は400~600円程度で数冊出回っているようです。

専門的かつ、わかりやすい内容で、初心者よりも、本格的にマラソンに取り組んでいる中・上級者向け。
マラソンのタイム向上は、本人の努力と、トレーニングの内容次第なので、短期に効率良く走力をアップしたい方は、非常に参考になるかと思います。

また、こちらのまとめサイトにも、マラソントレーニングに関する方法論が簡単に説明されています。

【衝撃】マラソンのタイムを縮める意外な練習方法 【トレーニング】 - NAVER まとめ




月間走行距離の過ちは、結構有名な話ですが、それにも関わらず、無駄に距離を追い求めているランナーさんが多いのが不思議。距離を伸ばしやすいジョグやLSDを繰り返したところで、肝心の走力上達は足踏み状態になってしまいます。

それに「私は月に600kmも走りました!来月は700kmは行けると思います!」という方よりも、トレーニング中に「1kmを3分で走れた!」という方よりも、40歳代でフルが2時間40分に迫る走力がありながら「私なんてレベルの高い方からするとまだまだ修行が足りないです。もっと頑張らないとダメですね。」と謙遜しているおじさんの方がはるかにすごくて尊敬できますよね。
実力や実績に満足したいのなら、誰もがその価値を同等に認めることができる、中身が裏打ちされた正確な基準のものでないとダメかと思います。

そして、サブスリーを達成してるランナーさんのトレーニング内容を見てみると、ただ単に距離を踏むだけでなく、強度の高いメニューを定期的に繰り返しているのがよくわかります。

ランディノート: サブスリー達成者のトレーニングメニュー(Sさん編)

川内選手のトレーニング理論も、非常に参考になります。
(書籍「走れ、優輝!」から抜粋)
・月間走行距離は600キロ

勤務時間の関係で、1日1回しか練習できないので、600キロという距離は、ちょうど自分が壊れない限界として、現実的だと思っている。

・練習は1日1回

2部錬はやる必要はないと思っている。人間は1日1回やるからこそ、集中し、しっかり挑むことができるもの。これが1日2回頑張らなければならないとなると、体のケア、準備運動も2倍必要になる。それなら1日1回にして、ケアや、準備運動を1.5倍にしたほうがケガもしにくいし、合理的である。

・ポイント練習は週2回

水曜日はスピード練習の日とし、主にインターバル走を行う。例えば、1000mを3分~3分5秒で15本。その間の緩走は200mを60秒で走る。
土曜日は仲間たちとロング走。1キロを3分30秒ペースで30~40kmを走る。
追い込み練習はこの週2回のみ。メリハリをつけることで、心も折れることなく練習を継続できると思っている。

・ジョグ

週2回のポイント練習以外は、ジョグのみ。ペースはだいたい1キロ5分くらい。
何のためにジョグをするかというと、ポイント練習のため。つまり、試合のためにポイント練習があり、ポイント練習のためにジョグがある、という関係。
そのため、ジョグだけを頑張っても、ポイント練習が頑張れなければ、ジョグの意味はない。
ジョグは人と楽しく会話をしながら、あるいは一人で音楽を聴きながら自由にリラックスして走る。
「ジョグもしっかり集中し、どういう動きをしているのか考えながら走れ」と言われたことがあるが、それも限界がある。
抜くべき時は抜いて、メリハリをつけたほうがいい。やるときはやる、休むときは休む。集中力の切り替え、使い分けが大切。

・アップとダウン

アップは、ハーフでは20~30分走る。フルマラソンのときは、1キロ走って体操をし、3キロ走ってから流しを1~2本入れる。
ダウンはウォークかランを1~2キロ。その後、アイシングや交代浴をし、温泉や鍼治療で疲れをケアしている。
アップとダウンで大切なのは、「ケガをしないためにはどうすればいいか」という意識を持つことだと考えている。

・体のケア

2011年の東京マラソン後、月2回くらいの鍼治療や整体に行くようにした。
高校時代、ケガでかなり苦しみ、週4回治療に通ってもなかなか治らないことがあった。そこで学んだのは、治療を何回も受けるうちに、治療をやりすぎるのは逆にあまりよくないのではないか、ということだった。治療を何回か受けるうちに、耐性がつくのか何なのか、ケガが癖になってしまう。
しかし、本当に疲れたときに治療へ行くと、スッキリ回復するということもある。
その代わり、温泉には毎週必ず行っている。週末の厳しい練習が終わると温泉へ行き、温泉と水風呂の交代浴で、血流をよくしている。
普段はセルフマネージメントで回復し、いよいよ本番というとき、鍼などの治療の力を借りて、試合に挑んでいる。


・メンタルケア

モチベーションを上げるためには、メリハリをつけることが大切だと考えている。従って、休むときはしっかり休む。

日本のトップクラスで月間600km。実業団は1000kmを超えるトレーニングをしているようですが、成績は川内選手とほぼ同じなので、川内選手のトレーニングの方が要領がいいということになります。
ちなみに、サブスリーを目指すレベルなら、月に250~350kmもあれば十分かと思います。

マラソンは、楽しさと喜びのために大会があり、大会のためにポイント練習があり、ポイント練習のためにジョグと休養(超回復)があるのですよね。各トレーニングメニューは、それぞれに理由があり、どれも外すことはできません。
マラソントレーニングは長期に渡るものなので、大会のための練習のはずが、偏った自己満足のための、練習のための練習になってしまいがち。
トレーニング日誌を振り返り、ピントがずれていないか?弱点は何なのか?この練習内容で目標を達成できるのか?と自問自答できるような、客観的な目を持つようにすることが大切だと思います。

人よりも多くの時間をトレーニングに費やし、人よりも多くの距離を走ってきたにも関わらず、大会で満足な結果が得られず悔しい思いをされた方は、現在のトレーニング方法や取り組み方に誤りがある証拠なので、オフシーズンの今の機会にリセットして修正すべき。
逆に満足な結果が得られた方は、今までのトレーニングが正解だったことになるので、強度を上げつつ故障に気を付けながら、引き続き今のトレーニングを繰り返しつつ、更にブラッシュアップさせるようにするといいのではないかと思います。

今はマラソンのオフシーズンで、1年のうちでもっともリラックスできる期間ですが、真夏ほど気温はまだ高くないので、本来は秋に行うレース2ヵ月前の走り込み期のハードメニューがこなせる時期でもあります。努力次第では、ベースとなる走力のレベルアップが期待できそうですよね。
夏前までにしっかりとした土台作りをし、ランニングが厳しい真夏は現状維持にとどめておき、盆休み以降から、すでに築いた土台の上に立って本格的な走り込みを開始すると、走力の向上が手早く順調に進むのではないでしょうか。

特に真夏のトレーニングは、暑さに耐えることが精一杯で、頑張って取り組んだ割には、走力はさほど上がらないだけでなく、大量の発汗により鉄分不足に陥り、ランナーにとって天敵である貧血になる恐れがあります。慢性化すると治療に2ヵ月はかかってしまうため、肝心の秋の走り込み期を棒に振る結果となるので注意が必要。
私は貧血になると、手の左親指に横シワが寄るスプーン爪になり、走力ダウンだけでなく、倦怠感と睡魔がひどくなり、足の痛みの回復が衰え、ランニングどころではなくなってしまいます。
貧血の症状はジワジワ出てくるため、単なる不調の波と勘違いして気付きにくいし、気付いてすぐに鉄分をたくさん摂ったところで、身体が吸収できる量は限度があるし、脂肪のように貯蔵することもできないため、簡単には治りません。

私は故障と貧血が重なり、故障の後半から良くなりだしたのですが、トレーニングを本格的に再開して以降、再び再発したらしく、爪が波打ってきました。レバーやひじきなどの食材だけだとコンスタントに補給できないため、現在は鉄剤のマスチゲンを服用しています。
鉄剤は医薬品の方が鉄の含有率が高く、吸収を促すビタミンも含まれているため、健康食品のサプリメントよりも、ファイチやマスチゲンのような医薬品の方が、回復効果は高いと思われます。発汗の多い季節に突入するので、食材での摂取はもちろんのことですが、どうしても足りないような時は、こういった錠剤の力を借りるのも、効果的ではないかと思います。あくまでも食材優先で。

また、貧血に関しては、このページが参考になりました。

貧血克服への道のり - SILENTSHEEP*NET

暑さや貧血のトラブルを思うと、猛暑前の今の時期のトレーニング期間は、貴重だったりします。
レースまで期間がタップリあり、精神的に余裕があるこの時期のトレーニングは、教本に沿った走り込み期のメニューを、2~3週間忠実にこなしてみるという計画も、ひとつの方法かもしれません。
小出監督の書籍のサブ3狙いの場合ですと、



月 休み
火 ジョグ60分
水 ペース走15km(キロ4分~4分5秒)
木 ジョグ60分
金 ジョグ60分
土 タイムトライアル5km×2~4本
日 LSD2時間30分(30~32km)

月 休み
火 ジョグ60分
水 ペース走20km(キロ4分~4分5秒)
木 ジョグ60分
金 ジョグ60分
土 インターバル走(全力1000m+ジョグ200m)×3~5本
日 ビルドアップ35km

かなりハードですが、小出監督によると、

サブ3の練習で大切になるのは、心肺の強化。そのために「追い込む」ことが重要になります。つまり、ゼーゼーハーハーいいながら走る。これを忘れなければ、使いやすいようにメニューを書き換えても問題はありません。

とのこと。
このメニューの対象者はサブ3を目指すランナーですが、対象年齢は書いていないため、私のような回復の遅い50歳手前のおっさんは、まともにこなすと大変。木曜か金曜あたりのジョグを、完全休養に差し替えた方がいいかもしれません。
そして私の場合、100日に渡った長期故障で大幅にレベルダウンしてしまったため、今の時期にある程度回復させておかないことには、夏の終わりから始まる走り込み期だけでは、到底前年の自分には追い付けません。
自己ベストを更新し、生涯ベストを作るには、年齢的に次シーズンがラストかもしれないので、5~6月は、土台作りのための走り込み期として、しっかり取り組みたいと思っています。
お互い、頑張りましょう!